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井上あきら習作篇 その四十九 当季雑詠


「節分」
北壁に挑むロボット冬鴎


マンションの蒲団図りしごとく出づ


湯豆腐や腹蔵のなき志


半丁の湯豆腐で足る志


息白しマラソンランナ−走り去る


節分やコンビニで売る恵方巻




<字句補足説明>
【本稿の季語の説明についてはその多くを
インタ−ネット歳時記「季語と歳時記 5000語検索サイト」
http://kigosai.sub.jp/ に掲載された内容を参照しています
旧暦関係の説明には畏友・松村賢治編著「和のくらし・旧暦入門」
(洋泉社MOOK)にその多くをよっています
広辞苑によるものは 末尾に(広辞苑)と表示しています】

本日 二月八日は初午(はつうま)
二月の初の午の日 伏見稲荷大社の神が降りた日(広辞苑)

今回の主題は「節分」(せつぶん)
本来は四季の移り変わることをさす雑節
とくに二十四節気が一巡した大寒の末日(神宮館九星本歴)
二月三日 立春の前日 すなわち「冬の最後の日」

「冬鴎」(ふゆかもめ)が冬の季語
川沿いのビルの北壁で ロボットの昇降実験
人型のロボットの昇降はまだぎこちないものだが
垂直のタラップを確実に一歩一歩昇降する様は
明日への希望の一歩
川面には冬鴎(ここではユリカモメだが)が
しなやかに飛び交っている

「蒲団」(ふとん)が冬の季語 
暖める寝具ということで冬の季語
蒲団は年中使用する寝具だが
俳句では 夏なら夏蒲団と断る必要がある
冬の晴れ間
マンションのバルコニ−は示し合わせたように満艦飾になる

「湯豆腐」(ゆだうふ)が冬の季語 二句
対照的に冷奴は夏の代表的な季語
聞くだに涼しい 夏を健康に過ごすための知恵
冷奴にたいして湯奴(広辞苑)
冬は熱い湯に潜らせて湯豆腐で暖まる 日本の知恵
真っ白の豆腐は ずばり腹蔵(ふくざう)がない
腹蔵は心の中に包み隠すこと
しかも経済的で懐も冷えないのがいい

<半丁の湯豆腐で足る志>
こちらは仏教の「足るを知る」知足の精神を主体にしたもの 

「息白し」(いきしろし)が冬の季語
白息(しらいき)
日本のお家芸のひとつマラソンはロードレ−ス
沿道で待ちかねていても目の前を過ぎ去ってゆくのは一瞬
走者の吐く白い息もたちまち消える
残るのは観衆の白い息だけ
一月三十日 大阪国際女子マラソンの沿道の一人になってきた

「節分」(せつぶん)が冬の季語
今年は二月三日 冬の最後の日と思えば感慨もひとしお
近所の大阪天満宮では節分厄除大祭
海苔商協同組合が恵方巻を無料で配布
縁起物とて長い列に並ぶ
近頃はコンビニでも恵方巻が売られているが
海苔屋の知人から入手する上等の海苔で
家でも妻が作るので二日ほど恵方巻きづくし
(330句目)

<お知らせ>
一億人の俳句という向きもありますが 話半分 五千万人の俳句
俳句は日本語の国民的文芸の一形式 <読めれば詠める─俳句を遊ぼ─>
2010年(平成22年)10月から
twitter上に五千万人の「─俳句を遊ぼ─茶柱ツイッタ−句会」を開始
http://twitter.com/haijin575 から投句できます
@haijin575へのダイレクトメッセ−ジからの参加でも構いません

ハガキに句を書いて投句する方法は いまも全国的な俳句結社で実践中
もとはといえば 明治時代に新しくできた郵便制度を一早く取り入れた
正岡子規のアイデア「郵便俳句」
その進取の気風に倣い ツイッタ−時代の全国句会「茶柱ツイッタ−句会」
ささやかな参加人数ながら 愛媛県 兵庫県 大阪府 愛知県 神奈川県 
東京都など全国からご参加いただいて 今回は「第八回」目
誰でも 何時でも 何処からでも 気軽に参加できる句会です
参加費用は無料です
俳句の優劣を競うコンク−ルの場ではありませんので
審査員も選者もいません 投句されたまま掲載されます
順位をつけたり 特別な賞を授与することもありません(添削もしません)
俳句は生活に「張合い」をもたらしてくれます
もっと大袈裟にいえば「生き甲斐」にすらなり得ます
(俳句の基本ル−ルだけ守り)上手 下手はさておき
俳句を日常生活のレベルで詠んだり・読んだりして─俳句を遊ぼ─
読む(鑑賞)だけでも立派な参加者 ツイッタ−でご感想をお知らせ下さい
今年から 読み手の感想(鑑賞文)欄を設けます
ル−ルは運営しながら随時定めてゆきますが
ル−ルがあるから 皆が共通に楽しめる(遊べる)
楽しむために 俳句といえる基本的ル−ルとして ただ一点

<五七五 十七音の中に(主たる)季語を一つ入れること>と定めます

ツイッタ−に不慣れな家族 友人 知人の依頼による代筆ならぬ
「代ツイッタ−」は(代ツ)と末尾に書き添えていただければ可とします

季語の判定については
インタ−ネット歳時記の
「季語と歳時記 5000語検索サイト」掲載の解釈を基本とします
http://kigosai.sub.jp/

「茶柱ツイッタ−句会」参加者で ご希望があれば その力量に応じて
「個人・茶柱ツイッタ−句作展」(不定期)を開催することも検討中 
主宰にお気軽にご相談下さいませ

将来 投句作品の全句集を印刷冊子化あるいは
電子書籍化することもあり得ますので
作品の著作権は主催者に帰属することをご承諾いただきます 以上


─俳句を遊ぼ─
「第八回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」(着信順 投句のまま)
2011年1月22日募集〜1月29日締め切り 2月8日掲載
当季雑詠一人三句まで(1ツイ−ト3句まで)
兼題「大寒」「冬の朝」「凍る」「雪催(ゆきもよひ)」「雪」
「寒卵(かんたまご)」「雑炊」「粕汁」「寄鍋」「おでん」「榾(ほた)」
「障子」「息白し」「悴む(かじかむ)」「日向(ひなた)ぼこ」
「臘梅(らふばい)」「枯葉」「水仙」「竜の玉」「枯芝」



臘梅や蕾の友を香で急し(大阪市 あきら)

冬木の芽園児十色に竝びをり(大阪市 あきら)

枯芝を啄む雀だけの影(大阪市 あきら)

そとはらふ小さき翁の墓の雪(加古郡 はつを)(代ツ)

円城寺あれや淡海比良の雪(加古郡 はつを)(代ツ)

経あげに姉くる朝水仙花(加古郡 はつを)(代ツ)

銀世界雪を照らすは月明かり(一宮市 俳句(ry )

大寒や朝の検温六度九分(西条市 田所良雄)

手術台心も凍るアイマスク(西条市 田所良雄)

婦長の名刻む鏡や雪催(西条市 田所良雄)


<総評>

─俳句を遊ぼ─「茶柱ツイッタ−句会」主宰 あきら
今回の参加者は4名(36)参加句数10句(96)でした( )内の数字は累計
八回を重ね「茶柱ツイッタ−句会」としての参加総句数が96句
次回で100句を超えることになります ささやかな一里塚ながら
淡々と超えてゆきましょう
初参加やお休みの方々のご参加も大歓迎

加古郡のはつをさんは 雪の二句と水仙の句で滋味深く当季三作を揃えられた
義仲寺(ぎちうじ)には芭蕉翁の墓がある
足跡のわりには小さな翁の墓にかかった雪を「そとはらふ」(そっと掃ふ)作者
俳聖にたいする敬愛の念がよく現れた句
園城寺(をんじやうじ)は大津市にある天台宗の総本山
三井の晩鐘(みゐのばんしょう)で著名な三井寺というのは通称
琵琶湖や遥か雪を頂く比良山系を遠望 透徹した景が際立つ
三句目は朝(あした)で切れ 仏壇の水仙の花がくっきり見える いずれも佳句 一宮市の俳句(ryさんは 雪の一句のみだが連続参加継続中 敬服します
工夫の余地の残る句ながら 雪を主たる季語としていただいた
西条市の田所良雄さんは 作品から拝察すれば
病床から気力の三句のご参加
俳句には 病床にあっても自身を客観視させてくれる 
こんな功徳がある 取り合わせの季語のあっせんがじつに堅実で 
意志堅固なのが心強いかぎり
句友として 一日も早く快気されんことを祈念しています


「第九回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
2月8日募集〜2月15日締め切り 2月22日発表
兼題は「襟巻」「手袋」「マスク」「熱燗」「鰭酒」「寒鰤(かんぶり)」
「暖房」「北風(きたかぜ・きた)」「豆播」「牡蠣(かき)」「松葉蟹」
「葱(ねぎ)」「大根(だいこん・だいこ)」「白菜」「ラグビ−」「ラガ−」
いずれも当季(冬)の季語ですので一句に一つを選んで詠みこんで下さい
あるいは自由題(当季)で詠まれても結構です
投句はお一人三句まで(1ツイ−ト3句まで)2月15日当日着信可
次回は百句超えの記念句会です みなさんふるってご参加下さい



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http://www.kurashikata.gr.jp

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