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あきら「茶柱句会 第三部 第59回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第59回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内x2)
8月8日〜8月22日締切り
兼題 <蜻蛉> 
あるいは自由題(当季 初秋・仲秋・秋)



鬼やんまの複眼に貌捕捉さる

蜩や無辜の無念を列島弧

学名を得色なき風に丹波竜

老らくや自然薯の蔓さながらに

不覚にもスーパ−ム−ン見逃せり

秋霖をも味方につけて勝ち進む
(以上六句 大阪市 あきら)


ただの紙折れば生命や鬼やんま

鬼やんま糸で飛ばせしことはるか

池の面の雲に尾をうつ蜻蛉かな
(以上三句 加古郡 はつを)


己が翅ぎりぎり見るや赤蜻蛉

赤蜻蛉翅を揃へる育ち良さ

手触りに蜻蛉の翅の記憶かな

複眼に昔蜻蛉の宇宙かな

印傳のとんぼ戯る財布かな

憂き友にも伝へて眺む星月夜
(以上六句 横浜市 兎巣)



字句補足説明-鑑賞の手引-
順番に
鬼やんま(秋)蜩(初秋)色なき風(秋)自然薯(秋)
スーパ−ム−ン(秋)と当季季語
<鬼やんま>は蜻蛉の傍題の季語
子供の頃 獲り損ねた鬼やんまの複眼に貌(かを)を覚えられた恐怖があった
<蜩(ひぐらし)>が鳴けば秋 無辜(むこ)
罪のない人の無念を悼むような物悲しさ
列島弧(れつたうこ)弓なりになった日本列島は 
好きでこんな形態をとっているのではなく
プレ−トがひしめき合って物理的に生じた形態 つまり地震の巣窟
<丹波竜>ティタノザウルスという大型草食恐竜の新属新種の化石が発見され 
ギリシャ語で<タンバティタニス・アミキティアエ>と学名が付された
日本語で意訳すると<丹波の女巨人・友情>となるとか
兵庫県丹波市にある白亜紀前期(約1億1000万年前)の地層から発見された
ティタノザウルス形類では福井県勝山市で見つかった
「フクイティタン・ニッポンシス」に続く成果だとか
(この項MSN産経ニュ−スによる)
<自然薯(じねんじょ)の蔓>野山に自生する自然薯(山の芋)は
蔓を頼りに探す老獪で複雑な蔓の道筋 
一筋縄ではいかぬ<老いらく>の恋の手練手管
<スーパ−ム−ン>望月の8月16日未明に楕円軌道を周る月が最も地球に接近
とてつもなく大きく見える満月だったのだが 不覚にも寝入ってしまい見逃した
<み佛の長き耳朶>仏像彫刻には随所に誇張があるものだ
僕はいま白鳳佛の夢違観音像(国宝)を拝観している その心象風景
<秋霖(しうりん)>霖は長雨のこと 秋霖とはつまり秋の長雨
梅雨が梅雨前線によって生じるようにこちらは秋雨前線によって生じる
秋の梅雨のようなものといえば分かりやすい
今年の高校野球は前半は雨に祟られた 強豪校もあえなく敗退
勝ち進むには天候をも味方につける運否(うんぷ)が必要

はつをさんの句
鬼やんま(秋)蜻蛉(秋)と兼題に即して三句を詠まれた
一句目 ^紙で折った鬼やんま 僕はみたことはないが作るのが難しそうだ
二句目 子供の頃の思い出の句 捕まえた鬼やんまを糸で結んで飛ばして遊んだ
三句目 蜻蛉の雌が水面にちょんちょんと尾つけて産卵する光景
<池の面の雲に尾をうつ蜻蛉かな>一分の狂いもない秀句
ことに<雲に尾をうつ>中七の具体的表現が詩的かつリアル
はつをさんが俳句を自得されたことを証明する一句

兎巣さんの句
兼題の蜻蛉(秋)を中心に詠まれた 六句目は星月夜(秋)と当季季語
翅(はね)は昆虫類のはねに用いられる 鳥類では羽や羽根などが一般的
二句目 赤蜻蛉の擬人化 翅の揃え方で育ちを判断してみせた
五句目<印傳(いんでん)>400年以上も伝わる甲州の伝統工芸品
鹿革に漆で抽象化したとんぼの金色の模様が戯れるように鏤められている
財布に用いられることが多い 兎巣さんは土産物にされたのだろうか
六句目<星月夜(ほしづくよ)>月も星も年中眺められるが空気の澄んだ秋は
とくに美しいので秋の季語とされた 兎巣さんは憂鬱そうな友達に
今宵の星月夜は「きれいだよ」と伝えて自分も眺めている


<同人欄>

「ビッグイッシュ−」あきら(代表同人)vol.47

鳥獣の驚かざりし添水かな

色なき風耳朶長きみ佛に

孤舟いま色なき風に身を晒す

新涼や心おきなく旅支度

色なき風ビッグイッシュ−売る男

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題の添水(秋)以下 色なき風(秋)新涼(初秋)などが当季季語(季語歳)
<添水(さうづ)>別名鹿脅し(ししおどし)と呼ばれるが
いまや驚く鳥獣はいない 
しかしながら日本庭園の必須のアイテムとして生き続けている
俳句はこのようになってはいけない 他山の石とすべし
<耳朶長きみ佛>僕はいま法隆寺蔵の夢違観音像(国宝)の写真を眺めている
仏像彫刻に誇張はつきものだがそれにしても長い耳朶(みみたぶ)
<旅支度>2008(平成20)年秋<新涼や茶柱一つ立ちゐたり>と
風雅ぶってよりのざっと6年もの長逗留 心おきなく旅支度させていただけるのも
ありがたいことと改めて谷口純平さんに感謝している
<ビッグイッシュ−>街頭で本を立ち売りする男性をご覧になった方も多かろう
この仕組みはなかなか含蓄があってよくできている 大いに見習うべし
A4版30頁ほどの雑誌が300円(消費税が上がった4月からは350円)
なにより立派な点はその内160円が販売者の収入になること
THEBIG・ISSUEは1991年ロンドンで生まれた
ビッグイッシュ−日本版は2003(平成15)年に創刊された
ホ−ムレスの人の救済ではなく自立を応援する社会的企業の実践という志も佳し
体裁ばかり立派で玉石混交の句集が1冊3,000円前後もするというのは
現代の俳句界のノ−天気ぶりを現して余りある


「大文字」はつを(同人)vol.44

冥土にも知人ふえたり大文字

施火一夜原発永久に人を苛む

大文字や風の色なす宿の庭

降りしきる雨も燃やさん大文字

雨ならば蓮の葉の傘さしかけよ

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題の大文字(初秋)はじめ関連のを当季季語にした句を詠まれた
一句目 健康で野菜作りと俳句を嗜むはつをさん 既に古希は超えておられる
それ故毎年知己を送る悲哀も実感される その感慨の一句
二句目<施火(せび)>は精霊送りにたく火のこと
ことに8月16日(旧暦7月16日)京都五山の送り火(大文字)のことを指す
大文字の傍題の季語
この句は福島原子力発電所事故後の現状に鑑み 痛烈な批判の句になっている
狙いはいいのだが 投句欄で<俳句を自得された>と賞賛した手前
同人欄として推敲の余地のある下五の字余りを看過できない
「苛む(さいなむ)」の字義に近い語として
「責む」を当てれば<人を責む>五音で
下五が治まる 又は<責苛む(せめさいなむ)>六音なら辛うじてとれないこともない
もちろん俳句の表現の自由という権利は尊重されなければならないのは自明
ただし俳人の義務 
当句会では<五七五・十七音に主たる季語一つ>という定型を
守った上でのこともまた自明
三句目は大文字を見るために泊まった宿の風情を情感豊かに表

<風の色なす宿の庭>の中七下五に切々とした情趣がこもる
五句目<蓮の葉>は季語としては晩夏ながら
ここ(秋)においても違和感はない
はつをさんの優しい心が現れて
良寛さんを髣髴させる

<講評>茶柱句会主宰 あきら(代表同人)
7月21日(海の日)近畿圏も梅雨明け宣言された 平年並みという
蝉は既に喧しく猛暑日続く 昨日(8月7日)は暦の上では早や立秋
暑い暑いと嘆いてもはじまらない
一日々々を慈しみ
俳句という季節の詩の風雅に遊ぶ
それこそが俳句の恩寵
茶柱横町での句会は第60回(9月)・第61回(10月)の2回のみとなってきた
刻んだ回数は偽ることはない 淡々と進め淡々と終刊にしたい
参加者3名(337名)参加句数15句(881句)( )内は累計数
次はどこに拠点を置くかまだ検討中 次号には表明したい

─俳句なう─
「第60回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
9月8日〜9月22日締切り 2014年10月8日掲載予定
一人6句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ト)
兼題は<月>
あるいは自由題(当季 仲秋・秋)でも構いません
(茶柱横町での最終句会です 奮ってご参加あれ)


<編集後記─その1>
まず6年にわたり横町に句会の場を提供して下さった
谷口純平さんに感謝いたします
気がつけば6年(石の上にも3年×2)経過して
一般投句と同人欄を合わせるとゆうに1,000句を超す作品も
もとはといえば0からの出発
継続する自信と実績はできた
もっと拡大できるものをこぢんまりとさせてしまったのは
ひとえに僕の力不足
しかし茶柱横町は去るが茶柱句会は場所を改めて
新しく<インタ−ネット句会>として継続
もっと本格的な句会を目指します
多くの俳句結社がタコ壷化する弊害に苦しむ中
垣根を取り払って縦横無尽に交流し学ぶ
広汎な視点から俳句を自得する集団を目指します
ビッグイッシュ−の編集販売システムなども参考にして
新たな展開をします(つづく)


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