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あきら「茶柱句会 第三部 第58回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第58回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内x2)
7月8日〜7月22日締切り
兼題 <花火> 
あるいは自由題(当季 晩夏・初秋)



凛として女花火師女杜氏

「カワイイ」は星合ふ惑星の共通語

日に三度行水がはり水シャワ−

端居して紬の似合ふ小柄かな

かき氷の秀にふりかけし和三盆

せめてもの鱧の棒寿司竹の皮
(以上六句 大阪市 あきら)


旅客機を撃つミサイルや鼠花火

洞爺湖に上がる花火や火取虫

日本一古い大池の花火かな
(以上三句 加古郡 はつを)


吉凶も慰霊も宙に咲く花火

もう二度と見られぬ仕掛け花火かな

魑魅魍魎花火喰らうて潜みけり

雨乞ひの花火の起源濡れごろも

肩車せがむ子と見し花火かな

あらためて宇野千代を読む片蔭り
(以上六句 横浜市 兎巣)



字句補足説明-鑑賞の手引-
順番に
花火師(初秋)星合ふ(初秋)行水(晩夏)端居(晩夏)
かき氷(夏)鱧寿司(夏)と当季季語
平塚らいてう「青踏」1911(明治44)年創刊の有名な辞
<元始、女性は実に太陽であった>を持ち出すまでもなく
<女花火師女杜氏>近頃は女性の各界への進出が目覚しい
女花火師は尺玉を小脇に抱えたJAFの表紙(撮影・立木義浩)で以前見た
  杜氏もそうだが女性が家業を継承するケ−スが多い
<星合ふ惑星(ほし)の>旧暦7月7日(今年8月2日)
夏から秋に季節が変わる頃
七夕に牽牛星と織姫星が天の川を渡って合う七夕の物語が
日本古来の風習に中国渡来の「乞巧奠(きこうでん)」の行事が
重なってできあがったように「カワイイ」という言葉は
きゃり-ぱみゅぱみゅ(1993〜)さんの談によると
「世界中のカワイイ感覚を基本にして自分流のカワイイを作り上げた 
世界中の人がカワイイと感じるのは当然」
「ナ・ル・ホ・ド」 
日本文化のお家芸「受容→変容→発信」を一人でやってのける
所属事務所名が「アソビシステム」 
松村賢治(1942〜)さんの「ビソアミス」とも近い
<行水>が絶滅季語になりつつある<水シャワ−>が代替できるか?
<端居(はしゐ)>は部屋で人と人とが接する間を空けて 
涼しく感じられるように
縁側などの端に座る気遣いのこと(今日的にはK・Yでない人)
<かき氷>は季語歳では氷菓(ひょうか)という季語に含まれる
和三盆は阿波や讃岐の名産でサトウキビ(黒糖)を丁寧に精製して作る最高級の
上品な砂糖 三盆の名は砂糖を「三度研ぐ」からきたものといわれる
酒でいうと大吟醸 ほぼ粉状なので秀(ほ)に振り掛けると溶けて一体化する
<せめてもの>十分とはいえないが なんとか我慢できる様子
僕はもう鰻は諦めた「鰻がなくとも鱧がある」いや「鱧のほうが好きだ」
欲をいえば鱧の照り焼きが欲しかったが
予算の都合で棒寿司になったという恨み

はつをさんの句
兼題の花火(初秋)で詠まれた滋味深い三句
一句目 ウクライナ東部高度1万mを飛行中のマレ−シア航空機が地対空ミサイル
で撃墜された事件を早速句にされた<鼠花火>の下五の季語が不気味でユニ−ク
BUKで撃墜された現場の惨状は鼠花火の断末魔に似ている
このような時事問題が詠めるところに俳句と俳人の懐の深さがある
二句目 洞爺湖は2009(平成21)年世界ジオパ−クに認定された
「洞爺湖有珠山ジオパ−ク」約11万年前の巨大噴火でできた
句としては主たる季語は<花火>(初秋)で
くっきりしていて問題はないのだが下五の
<火取虫>(夏の季語)が入って句が破綻したように思う 
取り合わせの問題?
三句目 <日本一古い大池>とは はつをさんの地元の加古郡稲美町の
「天満大池」奈良時代の前の675年ごろに作られた自慢の溜め池
こちらは下五<花火かな>と決まって立派な一句

兎巣さんの句
兼題の花火(初秋)を中心に詠まれ六句目は片蔭り(夏)と当季季語
一<吉凶も慰霊も>花火はいろんな願いや感謝の思いを込めて打ち上げなれる
端的に切り取られた
二<もう二度と>大げさにいえば生涯においてそう何度も見られない花火を見た
三<魑魅魍魎>花火を喰らった妖怪や怪物などが跋扈をやめて潜んでしまった
六<あらためて宇野千代>大正・昭和・平成にかけて活躍した女流作家で
多彩な顔をもつ恋多き宇野千代(1897〜1996)の
何を読まれたのかは不明ながら
小説なら「おはん」や「色ざんげ」が代表作
下五の片蔭りのおき方が兎巣さん調で洒落ている


<同人欄>

「祇園会 後祭」あきら(代表同人)vol.46

祇園会や背後の闇の深きこと

祇園囃子哀しみの底ふみ抜けり

薩長も新撰組もコンチキチン

祇園会や先の戦は応仁と

哀しみをうち消す鉦や後祭

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題の祇園会(晩夏)以下 
祇園囃子(晩夏)後祭(晩夏)などが当季季語(季語歳)
祇園会の句は蕪村の<祇園会や真葛原の風かほる>をもって嚆矢とする
数多ある祇園会の句に対してこの視座のズラシはたいしたものだ
真葛原(まくずがはら)とは字義通り葛が一面に生えている原のことだが
昔の京都東山区円山町の円山公園一帯を指す
青蓮院・知恩院・双林寺・八坂神社などが並ぶ東山山麓の傾斜地
<わが恋は松をしぐれの染めかねて真葛原に風騒ぐなり>
青蓮院門跡の慈円の歌(古今和歌集巻11)が文人連中を唸らせるよう
きちんと本歌取りされている
祇園会に限らず伝統的な「祭り」の多くは民衆(町衆・村人)の
自発的な運営によって歴史を刻んでいる 
そのほとんどが大きな闇と哀しみの容量を打ち消す
「華やかさと活気」を呈して意気地を見せる
(越中八尾のおはら「風の盆」だけは徹底的に哀しみ抜いて踊り明かすのだが)
千年の都・京都の人がいう「先の戦」とは「応仁の乱」のこと
応仁の乱は室町時代の1467(応仁元)年〜1477(文明9)年の10年戦争
8代将軍足利義政の維嗣争い(跡目争い)で東軍と西軍が京都を荒廃させた
この戦と第二次世界大戦の一時期だけはさすがに祇園会も中断された
今年は1966(昭和41)年から先祭(17日・山鉾23基)に統合されていた
後祭(24日・山鉾10基)が49年ぶりに復活
(150年ぶりの復活を果たした大船鉾も含まれる)
京都の旧家で育ち伯牙山保存会理事長を務める杉本秀太郎(1931〜)さんは
「後祭 静の風情必見」(読売新聞7月10日号)と推奨される
露店屋台を一切排除して往年の風情がゆっくりと楽しめる
事実23日の宵山の人出は前祭の宵山(16日)の2割に満たない5万人
今年は時期遅しだがご興味があれば来年にでも如何でしょうか


「浴衣」はつを(同人)vol.43

関取の色とりどりの浴衣かな

その帯に四股名見ゆるや浴衣掛け

客席の浴衣すずしや名古屋場所

青い眼の童四条で買ふ浴衣

官兵衛やゆかた祭りの城下町

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題の浴衣(夏)はじめ浴衣を当季季語にした句を詠まれた
はつをさんは大の相撲好き 
殊に元大関魁皇(現浅香山親方)の大ファンだった
相撲にまつわる浴衣をいろんな角度から詠まれた
最近は揃いの浴衣を部屋単位で特注したり 
昔ながらに贔屓筋から贈られたり
柄のデザインも多様化 帯に自分の力士名を刺繍したりする者もある
また客席の浴衣姿も涼しげだ
四句目は外人の子らが祇園祭で賑わう四条で浴衣を選んでいる光景
五句目ははつをさんの地元で官兵衛ゆかりの姫路城のゆかた祭りの句
このように浴衣を自在に詠めるのは熟練の技

<講評>茶柱句会主宰 あきら(代表同人)
7月21日(海の日)近畿圏も梅雨明け宣言された 平年並みという
蝉は既に喧しく猛暑日続く 
昨日(8月7日)は暦の上では早や立秋
暑い暑いと嘆いてもはじまらない
一日々々を慈しみ
俳句という季節の詩の風雅に遊ぶ
それこそが俳句の恩寵
茶柱横町での句会は第59回(9月)・第60回(10月)の2回のみとなってきた
刻んだ回数は偽ることはない 淡々と進め淡々と終刊にしたい
参加者3名(334名)参加句数15句(866句)( )内は累計数

─俳句なう─
「第59回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
8月8日〜8月22日締切り 2014年9月8日掲載予定
一人6句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ト)
兼題は<蜻蛉(とんぼ)>
あるいは自由題(当季 初秋)でも構いません


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