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あきら「茶柱句会 第三部 第60回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第60回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内x2)
9月8日〜9月22日締切り
兼題<月>
あるいは自由題(当季 仲秋・秋)



名月や湖にありても濡れもせで

里芋の繋ぎし生命昔あり

月今宵大阪一の橋に待つ

秋の蚊や除染に似たる弥縫策

秋深しこゝろ自由の士とならむ

これよりは色なき風の人となる
(以上六句 大阪市 あきら)


池の面の月を愛でては良夜かな

月さすや狛犬の耳欠けてをり

雲から雲わたる月こそ佳かりけり
(以上三句 加古郡 はつを)


月赤しいよゝ肥へたる魔女の腹

月明り手元にあれど何もせで

光年も前の呟き星月夜

声かけてみれど月夜の生返事

人の世にも月の満ち欠けありにけり
月眺む友とゴ−フル齧りつゝ
(以上六句 横浜市 兎巣)



字句補足説明-鑑賞の手引-
順番に
名月(仲秋)里芋(仲秋)月今宵(仲秋)
秋深し(秋)秋の蚊(秋)色なき風(秋)
と当季季語
<名月や>数十年前 比叡山のドライブウエイ偶然眺めた光景
琵琶湖の漆黒の湖面に天空の名月がそっくり浮かんで息を呑むような感動
道元禅師(1200〜1253)の悟りの境地の表現に
<人の悟りは 水に月が宿るようなもの 月は濡れないし 水は破れていない>
がある
名月の関連季語はざっと二十を下らない 恐らく数多ある季語の中で
最多ではなかろうか
<里芋>は仲秋の名月の頃に収穫されるところから芋名月という呼び名もある
昨今のように米が安定して収穫できない時には
里芋が人々の生命を支えたこともあったのではないかと
思いを巡らしている月見のお供えに欠かせない薄と並ぶ主役
この里芋関西ではコイモ呼んで僕らは育ってきた
<月今宵>は名月の傍題の季語
大阪一の橋は人によって異なるだろうが 僕にとっては難波橋(なにはばし)
このように決め付けず読む人に想像の余地を委ねるのも俳句の手法
<秋の蚊>デング熱を媒介する小さな蚊に首都圏が振り回された
なにやら被曝地域の除染騒動に似て弥縫策(びほうさく)に終始

はつをさんの句
兼題の月を俳人の洒脱な感性で詠まれた
<良夜>は月の明るい美しい夜のこと
主として旧暦8月15日の仲秋の名月の夜を指す(季語歳)
一句目 その姿即俳人
二句目 月明りで見る狛犬の耳の欠け 即物表現がリアル
三句目 実際には雲が動いているのだが 俳人は月が動いていると見た

兎巣さんの句
兼題の月をいろんな角度から表現された
一句目<魔女の腹>は兎巣さんの深奥にある個性的な表現
六句目<ゴーフル>は神戸風月堂の丸い洋風煎餅の商品名


<同人欄>

「月照権」あきら(代表同人)vol.48

蘆刈や水面に舫ふ舟の影

十五夜や三五三五と橋の上

不粋なれど月照権を主張せむ

再生へ気概の風姿敗荷

皮膚に滲む添水の静寂独り坐す

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題の<月照権>このような季語は存在しないが月照で秋
日照権に対して月照権としたものの出来栄えはもうひとつ
順番に蘆刈(晩秋)十五夜(仲秋)月照(仲秋)
敗荷(晩秋)添水(秋)と当季季語
<蘆刈>は謡曲にもあり 
谷崎潤一郎(1886〜1965)の小説(1932(昭和7)年)
にもなった幻想の世界に題材を得た水墨画のような句
<十五夜>陰暦は月との関係が判りやすい 一日朔で月は見えない
十五日は十五夜と呼ばれ望月(満月)
なかでも一年のうち仲秋(陰暦八月十五日)の満月は
空気も澄んでいて最も美しい
<三五 三五>は十五夜の月を観る人の悦びのリズム(三五の月)
三々五々の元の意味 小グル−プが思い思いに集う様子
<敗荷(やれはちす)>秋になって枯れた蓮の葉や花のこと
侘しさを誘うが再生への気概を秘めている
未だ復興もままならぬ3.11以降の被災地の再生を祈る
<皮膚に滲む>皮膚と脳とは同じ外胚葉の由来とか
新潮選書「皮膚感覚と人間のこころ」傳田光洋(資生堂主幹研究員)著に学ぶ


「爽やか」はつを(同人)vol.45

爽やかに日本の時を刻みけり

人麻呂の歌碑読み解くや萩の花

子午線をよぎる蜻蛉や人麻呂宮

赤とんぼ東京駅に南口

虫土の穴にかくれて戸を塞ぐ

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題の爽やか(初秋)萩の花(秋)蜻蛉(秋)
赤とんぼ(秋)虫(秋)と当季季語
一句目には<明石天文科学館の子午線上の日本標準時計台>とある
<人麻呂>は万葉歌人で歌聖と称せられる柿本人麻呂(660頃〜720頃)
この歌碑は柿本神社(祭神は人麻呂)にあって有名な
<天 離(あまさか)る鄙(ひな)の長道(ながぢ)を恋ひ来れば
明石の門(と)より大和島見ゆ>
<子午線(しごせん)>明石は子午線の町で日本の標準時 
東経135度に位置する
五句目には<七十二候に蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)あり>
との前書きあり
秋の終わり(晩秋)の一句 最終号にふさわしい秀句

<講評>茶柱句会主宰 あきら(代表同人)
本号をもって茶柱横町での茶柱句会は終刊とします
時あたかも二十四節気の寒露(2014年10月8日=旧暦長月大15日)
最終号は参加者3名(340名)参加句数15句(896句)( )内は累計
最後まで継続された加古郡のはつをさん 横浜市の兎巣さんの代表作を掲げ
エ−ルを贈ります
はつをさん立柱賞受賞句<烏賊釣や原発見ゆる色の浜>
ならびに受賞記念俳論<芭蕉追慕の旅・月山へ─>の連載が特筆される
兎巣さん同准賞受賞句<会うならば四月にしよう受話器置く>
いずれも3.11以降に詠まれた秀句


<編集後記 その2>
創刊号から読者としてお付き合いいただいた
須磨のMさん・伊賀のKさん・大山崎のTさん・
神戸のSさんありがとうございました
しばらく休刊して来年(旧暦弥生の清明ごろ)復刊します 
その折にはご案内を差し上げます
会員は総入れ替えします
次回からはインタ−ネット会員に加えて 郵便会員・句会会員・
鑑賞会員あるいは暇つぶし会員・冷やかし会員・・・
他の句会やインタ−ネット上の交流など蛸壺にこもらないように
グロ−バルに愉しめる参加方法を取り入れて参ります
内容を充実するためには運営経費もかかりますので
年会費制にするつもりです(会費は改めて定めて公表します)

振替口座 
口座記号番号 00970-1-202863番
口座名称(漢字) 茶柱句会
口座名称(カナ) チャバシラクカイ



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