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井上あきら習作篇 その三十九 当季雑詠


「八月尽」
きのふより遠くなりにし蝉時雨


夏の月原爆ド−ム独り言つ


八月尽原爆ド−ム架構かな


井戸水に芯の芯まで西瓜かな


一艘は横堀へ逸る涼み舟


夕凪や新宮晋静止せり


冷房の咎め一身室外機




<字句補足説明>
【本稿の季語の説明については その多くを角川書店編
「第三版俳句歳時記 夏の部 秋の部」によっています】

今回の主題は「八月尽」(はちがつじん)
明日 八月二十三日は二十四節季の処暑(しょしょ)
暦の上では暑さもおさまり朝夕は初秋の気配 が 
実感は 夏の胸突き八丁 しばし気合を要す
ニュ−スで見るばかりながら
阿波踊り(12日〜15日)がこの時期にピッタリの行事
先日新聞記事で 鳴門市の阿波踊りに瀬戸内寂聴さん(88)が
袈裟姿で踊る写真を拝見
ところで 八月尽の「尽」は つきるということ
八月にかぎらず どの月にでもいえる
僕には 65年前に戦争の終結を迎えた「八月尽」が最も感慨深い
歳時記の上では八月は秋の季語

「蝉時雨」(せみしぐれ)が夏の季語 
立秋を過ぎると 急に蝉の声が半分くらいに弱まる
日増しにまっさらの蝉の躯(むくろ)が地面に転がる
それを蟻が運んでいるのを見たりすると
季節の移ろいをまざまざと実感させられる

「原爆ド−ム」二句
「夏の月」(なつのつき)が夏の季語 月だけだと秋の季語
夏の月は静かで涼しげ
<一> たまたま原爆の直下にあって
原爆の象徴とされてしまった広島県産業奨励館のドーム
独りつぶやいているように見える
「八月尽」(はちがつじん)が秋の季語
<二>構造力学の原理の正しさを厳然と見せつけている
皮膜は吹っ飛んでもド−ムを構成するア−チ架構(かこう)は残った
<・・・架構かな>と詠嘆を込めて眺めている

「西瓜」(すいか)が夏の季語
西瓜を一玉丸ごと井戸水に浸けて冷やしているところ
冷蔵庫より氷より なにより井戸水にじっくり浸けて
はじめて芯の芯まで冷たく美味しい西瓜になる

「涼み」(すずみ)が夏の季語 納涼(のうりやう)
「涼み舟」は「納涼舟」のこと
土佐堀川を並んできた一艘が横堀へ逸れていった
東横堀川を辿ってゆくと道頓堀川へ到る

「夕凪」(ゆふなぎ)が夏の季語
夕方海風と陸風が交替するとき一時海上が無風状態になる
港区市岡の海側に夕凪橋という橋があった
埋め立てで街の真ん中になったいまも地名だけが残る
夕凪で風のオブジェが静止したのだが
作者の新宮晋(しんぐうすすむ1937〜)さんが静止とした
風や水で動く彫刻で世界的に著名な彫刻家
安藤忠雄さん設計のサントリ−ミュ−ジアム(大阪港)
西テラス(マ−メイド広場)に風のオブジェがある
僕の瞑想空間
実にエクサイティングな空間だ
世界的海洋冒険家 堀江謙一(1938〜)さんの艇(ミュ−ジアムの屋上)
マーメイド4世号の名前の所縁
世界的建築家安藤忠雄(1941〜)さん
世界的彫刻家新宮晋さん
みな関西出身の世界的プレイヤ−
そして 素浪人あきら・・・こいつが問題

「冷房」(れいばう)が夏の季語
冷房の室内機は内にあって涼しくしてくれて感謝される
一方 室外機は外にあって汗を流しているのに熱交換の
熱風を噴出して道行く人に嫌われる
人の世にも室外機のような役回りの方がいる
(262句目)


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