道草其の三十四
みらい -11-
「僕はね」
少年はスコピィに話し始めた
レディーナや8人の友だちとすごした日々
そして
誰もいなくなって始まった
この旅のこと
話し終えると最後に
小さくつぶやいた
「父さんのことも母さんのことも
僕は何もしらないんだ……」
少年の言葉を
ずっと黙って聞いていたスコピィは
突然大きな声で言った
「よし! 捜しに行こう!」
「え!? 何を?」
「きまってるじゃないか!
君の父さんと母さんだよ!」
「どこに? どうやって?」
「心配するなって!」
そう言うとスコピィは
床の丸い蓋のような扉を開くと
そこから下にのびている梯子を降りはじめた
「一緒に来て!」
梯子を降りて階下に降り立った少年が
そこに見たものは大きな魚のような乗り物だった
「ふふん、どう? 僕専用の潜水艦さ!」
<つづく>
<じゅんぺい>
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