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道草其の三十三
みらい -10-

右「たとえば君が右の道を選択したとしよう
  その道が向かう場所が
  君にとっての目的地である確率は」

左「確率? 保証だろ?」

右「いや、ちがう!」

左「結局は同じ事さ」

右「それは何、僕がこの少年の右側にいるから
  という理由で言ってるの?
  右側にいるから右側を保証するって?」

左「普通、誰でもそう思うんじゃないかな」

右「黙れ! 見当違いも甚だしい!
  確率と保証では水と油ほど性質が異なる!」

左「ふむふむ、それで?」

右「仮に5割という数字を用意してみよう
  つまり目的地に着く可能性としての―」


「こっちだよ! ほら! こっち!」



際限もなく喋り始めた
「ここにいるものたち」の声の間に
小さく
しかしはっきりと少年を呼ぶ声が聞こえた

声は道が右と左に分かれる
ちょうど真中あたりから聞こえた

声の方に近づくと
扉が開いて光が漏れているのが見えた
小さな影が手招きをして
もう一度少年を呼んだ

「ほら! こっちだってば! 早く! 急いで!」

少年は駆け出した

<つづく>

<じゅんぺい>

想像力工房
Illustration →http://sowzow.com/
Design →http://sowzow.com/design/

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