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道草其の三十八
みらい -15-

潜水艇はゆっくりと上昇すると
建物の中にできた
海面に浮き上がった

「ここはどこ?」

スコピィはいたずらっぽい目を
輝かせながら答えた

「ぼくの秘密基地さ! さあ行こう!」

階段を上ると
音をたてる箱が
いたるところに置かれている
暗い大きな部屋に出た

一番奥の壁面には大きなスクリーンが
取り付けられていて
そこに6つの光る玉が
それぞれの色の軌跡を描きながら
右から左に動いている

「トシがいつ海に沈んで
 こんな死んだような廃墟になったのか
 誰も知らないんだ
 トシが何なのか
 誰が住んでいたのかってことは
 もう永久にわからないだろうなあ」

そう言うとスコピィはスクリーンの前の椅子に座ると
キーボードを叩きはじめた

「でもさ どういうわけか知らないけど
 この部屋のたくさんの機械たちは生きていて
 コンピュータが
 僕にいろいろな事を教えてくれるんだ」

カチッとひとつのキーを叩くと
スクリーンに
暗闇に浮かぶ丸い形が現れた

「これが僕らの住む世界なんだ」



<つづく>

<じゅんぺい>

谷口純平想像力工房
http://sowzow.com/

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道草其の四十
『みらい -17-』
突然スクリーンが暗くなり

道草其の三十九
『みらい -16-』
向こうは朝で こっちは夜?

道草其の三十八
『みらい -15-』
潜水艇はゆっくりと上昇すると

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