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道草其の三十
みらい -7-

海に
バケツのような形のものが見えてきた

たんぽぽの種がゆっくりと下降しはじめる
そしてそのバケツのような形のものの上に
静かに着地した

種から少年が降り立つと
そこは一面の土

「今年もやってきたのね、タンポポの種!
 あらあら、お客様も一緒?」

少年は声のする方を向くと
そこにはスコップの形をしたものたちが
2人立っていた



「こんにちは」
大きいスコップが言った
「君はダレ? なんていうの?」
小さいスコップが続けて聞いた

少年はモジモジしながら答えた

「僕は……僕は……8番」

「8番? 変な名前」
小さいスコップがいじわるそうな顔で言った

「スコピィ! そんな風に言ってはいけません!
 ごめんなさいね 8番……いえ……そう! エイトちゃん」

少年は聞いた

「8番て……8番て、名前じゃないの?」

大きいスコップは
最初困ったような顔で少年を見たが
すぐにうなずいて目をキラキラさせながら言った

「さっ、エイトちゃん、お茶にしましょう!
 焼きたてのカップケーキもあるわよ!」

<つづく>

<じゅんぺい>

想像力工房
Illustration →http://sowzow.com/
Design →http://sowzow.com/design/

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