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道草其の二十九
みらい -6-

地下に降りてゆく階段の先に
扉があった
紙に記された番号を打ち込むと
カチッという音が鳴って
扉が開いた


ただの一度も
家から外の世界へ出た事のなかった少年は今
暗い地下道に立っていた



「ソノ ミチヲ ドコマデモ ユキナサイ」

少年はレディーナの言葉を
頭の中で繰り返すと
言葉が記された紙を丁寧に折り畳み
服の胸ポケットに入れた
そして
少しの食べ物と水
どう使うのかわからない
小さな機械がひとつ入った鞄を肩に掛けて
地下道を歩き始めた

「フクヲ キテ クツヲ ハイテ
 ヨウイシタ カバンヲモッタラ
 オソレズニ ユキナサイ

 アナタニハ ミルモノ デアウモノ
 スベテガ ハジメテデ
 ナミダヲ ナガス ヒモ クルデショウ

 デモ
 アナタガ ユク ミチノ サキニ マッテ イルノハ
 アナタノ ミライ アナタ ダケノ ミライ

 コウウンノ メガミガ ドコマデモ
 アナタヲ マモリマス ヨウニ」

<つづく>

<じゅんぺい>

想像力工房
Illustration →http://sowzow.com/
Design →http://sowzow.com/design/



道草其の四十
『みらい -17-』
突然スクリーンが暗くなり

道草其の三十九
『みらい -16-』
向こうは朝で こっちは夜?

道草其の三十八
『みらい -15-』
潜水艇はゆっくりと上昇すると

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