道草其の二十八
みらい -5-
たんぽぽの種は
少年を乗せて
海に出た
広大な海 空に浮かぶたくさんの雲
少年の思いは
レディーナとの別れの日に飛んだ
子どもたちがいなくなると
レディーナの様子が
少しずつ奇妙になっていった
からっぽのベッドに向かって
朝の目覚めを知らせ
食卓に9人分の食事を用意し
着る者のいないシャツを何度も何度も洗った
そして
ある日
レディーナは初めて声を出して
少年に言った
「ワタシハ ロボット デス
ワタシハ キカイ デス
デモ コンナ セイカツハ
モウ イヤ デス
アイスル コドモタチヲ
ウシナウ カナシミハ
モウ イリマセン」
語り終えると
少年に一枚の紙を差し出した
そして静かに停止した
<つづく>
<じゅんぺい>
想像力工房
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