道草其の二十六
みらい -3-
種子のひとつが
掬(すく)いあげるようにして
少年を乗せると
風に乗り
空に舞い上がった
石の広場がみるみると遠のいていく
「ぼくは どこにゆくのだろう?」
少年は
風に運ばれるタンポポの種子の上で
旅の始まりの日を想った
同じ形をした家が建ち並ぶ街の中
その一軒の家で少年は
自分と同じ顔、同じ背丈の8人の子どもたち、
そしてレディーナとみんなが呼ぶ
身の回りの世話をしてくれる
機械と一緒に暮らしていた
朝起きて夜眠るまで
一日は規則正しくレディーナによって進められ
それは来る日も来る日も変わらなかった
(「そうだ、あの頃、
<ぼくはここで何をしているのだろう>と
思ったことがあった」)
ある日
少年の住む家の前に青い車が止まった
中から青い機械が2体現れて
乱暴に扉を開けた
<つづく>
<じゅんぺい>
想像力工房
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