道草其の二十五
みらい -2-
自分が座っている場所が
赤い石の上で
広場全体が
碁盤目状なのがわかると
白と黒のものたちが出した謎は
簡単に解けた
「再び現れた赤の(石の)上」で
少年は3度飛び跳ねると
石がゆっくりと持ち上がった
石の内側は棚になっており
そこにパンとミルクが置かれていた
少年がパンを食べ始めるや否や
白と黒のものたちは再び登場し
話し始めた
白いものたち「家族のみらい、国のみらい、星のみらい」
黒いものたち「いやいや、そんなみらいよりも
蟻のみらい、猫のみらい、くじらのみらい」
ミルクでパンを流し込むと少年は言った
「草や木にみらいはないの?」
白と黒のものたちが消えたかと思うと
少年のはるか前方の広場の石が山のように盛り上がり
大きな大きな植物の芽が顔を出した
それはみるみる成長すると
巨大なタンポポの花を咲かせた
花は瞬く間に種子となり
風に乗って
ゆっくりと大空へと舞い始めた
<つづく>
<じゅんぺい>
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