茶柱横町 茶柱横町入口へ
 
 
プロフィールを見る
前を見る 次を見る

其の五十五 落語家

そんなことが許されるのかは
置いておいて、
お婆さんになったらやりたいことの一つに
落語家に弟子入りしたい。

私は物事全般に緩い考え方の人間だと思うのだが
落語家は男がいいと思っている。
女相撲でも女歌舞伎でも甲子園でも男宝塚でも男オバさんでも
どちらでも好きなようにやればいいのである、
と思っているのだけれども。
落語だけは矢張り男がいいのです。
女の落語家で面白い人や達者な人がいるのは承知だけれど。
なんだかここだけは「蜂が苦手」なのと同じ
強情な番人がいて譲れない気がしている。

お婆さんは女ぢやないから
習うつもりなのかと言われたら、それは違う。
お婆さんとは言え女は女。
水分油分が飛んで密度は逆に濃いかもしれない。

唯、来世で男に生まれたときのために練習
をしておきたいのである。
生まれ変わったら記憶なんて
綺麗さっぱり忘れているぞと脅されても構わない。
したいからしとくだけのことだ。

しかも弟子入りする師匠はもう決めている。
喬太郎師匠だ。
年齢がほぼ同い年なのが気掛かりだが仕方ない。
現存する当代一の名人だと思い決めているのだから仕方ない。
それまでお互い死にませんように。
南無阿弥陀南無阿弥陀。


其の七十二
十分にご注意ください

其の七十一
一本木

其の七十
ダイヤと法灯

バックナンバーINDEXを見る
前を見る 次を見る
| 著作権について | このページのトップへ | 茶柱横町入口へ |