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其の五十四 海王星

「かいおうせい」と読むのだが。
太陽を周る惑星のうちでは、
火星や水星といった比較的近所の星々と異なり、
すこぶる彼方に距離を隔てた星の一つである。
近所の星々ですら人間用の物差しからしたら
とんでもない距離だと言うのに
更に、そのもっと向こうなぞ、くらくらする。
その遠さといったら想像もつかない。

こんなことを言い出したのも、
昨年、西洋占星術なるものを習ってみたからである。
円盤を組み合わせた図形に星の位置を記して
星たちの引っ張り合いにより生じる影響力を解析するのである。
宇宙の中ではミジンコよりウイルスより微細な存在である地球、
その上に貼り付いた人間社会、
そして、もう、ここまでくると存在感も無きに等しい個人。
偉大なる星たちの引っ張り合いの影響を受けないわけがない、
いや、受けるはずである、という理を基に、
それを知って如何ばかりか生き易くせむという話だ。
しかし、電車の時刻表もよく読み解けないのに、
複雑過ぎて実感もない星の運行なぞ、理解できる予感がない。
それなにの所々頭に入ってきて星読みの情報が斑に増えて行く。

さて、
海王星には海があるわけではないが占星術では
「海」や「水」がキーワードの茫洋とした性格の星とされている。
はるかすぎて個性が薄れているのかしらん、捉えどころがない。
しかし、同じ遠い星の仲間でも、
地獄のプルートやら冥府やらと凶々しさMAXの冥王星、
何事にも突出しているらしき天才肌の天王星など、
極端な性格付けの星たちは担当分野も明確で影響もそこそこ強そうだ。
海や水など、形定まらぬ性の海王星はゆらゆらと移ろうばかり百代の過客。
はっきりしない。
だからなんなんだ、と展開もなければ結果もない。
いいんだか悪いんだか。

私の生まれ日のホロスコープには、
己を示すところに海王星が鎮座ましましている。
此れは此れで納得であり、占星術を習って判ったことの一つである。


其の七十二
十分にご注意ください

其の七十一
一本木

其の七十
ダイヤと法灯

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