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其の三十一 卒業文集

提出した作文は卒業文集にするという。
題目は「私の生き甲斐」だという。
生徒の私は耳を疑った。
この若い教師は一体何を考えているのか。
仕方ないので、「私には生き甲斐はありません」と書いた。
何かと「生き死に」を天秤にかけようと思ったことは今まで無かったし、
これからも生涯無いだろうと確信していたので。
犬にも猫にも、将来の展望や将来の不安はない。
人だけが持ち得る希望と不安。
素晴しい。
でもやっぱりない。
どの日もどの時も私にとっては「生きる」ことが全てで最大の目的だ。
命の方向とは恐らくその様なものではないのか。
「生きることが目的だからです」と補足も付けてみた。
随分と嫌な小学生だったろう。

其の七十二
十分にご注意ください

其の七十一
一本木

其の七十
ダイヤと法灯

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