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其の二十六 苔玉

家族はいつも止まっていない。
家族は物質じゃなくて現象だから、家族はいつも流れている。

雲のように、波のように、木々のように、砂のように。
だから、はかなくて美しい。
家族を、どこかの時間で止めておくことはできないのだ。
だから、尊くて、いとおしいのだ。

村一番の秀才、自慢の息子は大学に行ったまま
街で仕事を得て家庭を持ってしまった。
村に戻って教師か役場勤めになることを夢見ていた母親。
愛情深く賢い母親の脳味噌は、息子の安泰と甲斐性を喜んでいる。
どこかの奥にしまってある魂は、苔玉のように静かにしんと湿っている。
どの母親も持っているそんなさみしさが、遠くにいる私に伝わる。

家族はさみしいものだ。
さみしいことが家族の証だ。

其の三十八
太田道灌

其の三十七
子 供

其の三十六
御小遣い

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