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第111稿 ヤモリ

 漢字で書くと「守宮(しゅきゅう)」「壁虎(へきこ)」。「家守(やもり)」は「井守(イモリ)」に対しての当て字的な表現と聞いたことがあるが、真相は知らない。



 梅雨明け前から晩秋の頃まででおますか、部屋の明かりに誘われ集まりはる虫さんに申し訳ないけどワテラモ生きていく為、窓ガラスにへばりついて虫 さんの命頂いて居りますねん。たまにご近所さんに出くわすと縄張り争いで噛み合ってはおりますが、殺し合いはしまへん。ほんで、胃袋に虫をため込むと一日 の仕事は終わりだんねん、夜涼しい時は、病気や無いんやけどどうも体が動きまへんので巣穴で寝て居ります。人間様とは違ごうて必要以上に無理して活動をす る気は甚だおまへん。

 人さん以外の生き物には義理人情や政治経済のナンタラがようわかりまへんのや。生きていく為の縄張り争いは、本能のおもむくままの行動でおますさ かい、領土争いや○○紛争しとる人間とは意味違いまんねん。そらー、ワテラモビックリするような・・行動しよる国や人らもぎょうさんおりまんな。そや、話 戻しますわ。冬眠しよる遠縁の動物はんは、体に脂肪蓄えなあきまへん、寝床に食料を蓄える奴も居りまんな。そやけど、そいつらの行動は政治や経済活動とは ちゃいま。ぶっちゃけ、損得無しで生きていく為でんがな。

 人さんはどないです、経済や政治とか言う言葉の巣穴で、株価や金利、主義主張に一喜一憂しながら死ぬまで過ごしていてはる。ほんまアホチャウか、 のんびり毎日暮らせんのかいな。そなん事言うとったら「その日暮らしの、腹一杯食べたら生きてることに満足して寝ているお前等と一緒にするな」と人さんは 言うかもしれまへんが、ワシ等はこれで至って充実した日々を送ってますのや。心配せんといて。

 そやそや、寝床の向こうでお勤めや法要をしてはると嫌でも聞かされおぼえましたがな、「和讃」でんな。日常の言葉で書かれているお経やで意味がよう解ります。読んではる「菩提和讃」の一節、あんたら知らんやろ人間の皆さんに紹介しますわ

今をも知れぬ後の世の 永き冥路を打ち忘れ
空しく過ごすぞ愚かなり 無常の風に誘われて
忽(たちま)ちこの世を終わるとき 何を頼みとなすべきや
あまた資産のあるとても 冥土の用にはならぬもの
家財重宝持つ人も 携え行くべき途(みち)ならず
偕老比翼の契いも しばし浮世の夢ならん
兄弟朋友ありしてと 伴い行くことさらになし


 どうだっか、何んか身につまされますわ。まっ、ワシ等財産はおまへん。ほいで、10秒先のことも判らんさかいアータラコータラ考えもしまへん。脇 見しとったら逃げられるさかいに、腹減ったら真面でっせほんま脇目降らずに一生懸命虫さん食べますんや。ほんで・・・面倒くさいで勝手にあんた考えて。

 話、変わりまんねんけど
 このあいだ、テレビのニュース寝床で聞いとったら「社長さんより役員さんの収入がはるかに多い」という話をしとりましたがな。なんやて、一年に 50億円60億円の収入本当に必要でおますんかいな。あんたそらー、本人に聞かにゃー解らん事でおますけど、どうも人間の生き方ワテラに理解できんよりま へん。そんやけど、持っていくつもりなんかいな。むこうじゃ意味の無い代物やそうな。ため込むだけなら、こっちでも意味の無い代物とちゃうんかいな。此処 の坊さんよう言うとる「金は息と一緒や。貯めるだけは苦しい。出しすぎも苦しい。今日と明日困らんかったらそれでええ」
 ほな、さいなら、ごきげんさん

 あっ、そやそや忘れとった。今回は、ボンサンの代筆でんねん。なんや知らんけど毎日遊んどるボンサンが「ボン」「ボン」言うて、人に用事押しつけてやっぱり遊んどる。なんちゅうやっちゃ、ほんまいてもうたろか。
 ほな、ほんまに、さいなら、ごきげんさん。
 ヤモリでおました 南無〜〜〜
 やっぱ、腹立つわー

大門 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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