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第88稿 本堂工事



 仮屋根無しで工事を進めている。屋根瓦を葺く職人さんには困った季節になっている。

 過日、20キロほど離れた山寺に住職をされ亡くなられた和尚さんの法事に足を運んだ。山の中腹にお寺は建っている。梅雨に入ったのか、向かいの山景色は霞むほどでは無いが雨が降っているのが良くわかる。其の景色は、実に落ち着いている。雨をいやがる人は少なくは無い。私も其の一人である。しかし、見飽きることの無い実におちついた雨であった。亡くなられた和尚さんのような静かな雨であった。

 和尚さんの法事も終わり、自坊に孵ってくると朝から来られ屋根に登っていた職人さんは既に帰られていた。雨が降っていれば当然仕事には成らない。まして、傾斜した仕事場では足元も滑りやすい。

 大方の瓦は載っている。大工さんはその点、雨の心配は少ない。が、足場を組んで格天井の作業中、踏み外すワケにはいけない。床から6メーター近い場所が今の作業箇所になっている。屋根仕事と違い、雨が降ってきても夕方まで仕事となる。

 本堂は高さで言えば、3階半の高さになる。が、平屋の建物である。完成予定は此の秋頃。中庭や参道を整備を考えると、まだまだ先である。

 お墓参りに来られている、ご年配の方々は異口同音「オッサン、本堂できたら一番に来るンや」と、元気な方々である。此の方々は、一番乗りは難しい。そんなに急いで「世逃げ」せんでも良いでは無いか。

 本堂の縁側に座って、雨の景色を楽しむ時間は残して頂きたいのである。

ダイモン 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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