|
第5回:「Zlatá Praha:黄金のプラハ」
ヤン・フス像。旧市街広場にある
チェコ共和国の首都はプラハである。
プラハについて、本当はもっと早くに話に出さなければいけなかったんじゃないかというくらいの重要な街である。
ヨーロッパ人がヨーロッパを旅行するといえばパリかプラハと相場が決まっているほどの、見るべきもののある街だ。
カレル橋、プラハ城、ブルタバ川、ビシェフラット墓地、天文時計、ユダヤ人墓地、たくさんの古い、あるいは特徴ある建築物。
プラハを形容することばは数多い。
「建築の博物館」「魔法の都」「百塔の街」そして
「黄金のプラハ(zlatá Praha)」。
錬金術師がいたことで有名な街だからなのか、秋の黄葉をさしているのか、プラハを形容する言葉は「黄金」である。
ブルタバ川に沿って走る路面電車の停留所
かつて中世に都として栄え、多くの優秀な人物や芸術家が集まった街。
チェコ全体から見ても、プラハはいろいろ特殊なエリアのようだ。
たくさん語られている。
プラハの人は話すのが速いとか、気が強いとか、クールだとか、物価が高いとか。
いまのプラハは、ほかのチェコの地方都市とくらべて物価が3倍以上する。
アイスクリームが地方都市ならトリプルで食べられるところを、プラハではシングルである。
ちょっと衝撃だ。
なので、最近、旅行してもプラハに長居はせずに、ほかの街へ行くようにしがちである。
ホテル代も安く、ゆっくりとチェコにだけ接していられる気がするから。
火薬塔
だが、プラハでしか会えない人やものもある。
火薬塔とよばれる、黒くそびえる塔。
プラハ城からの眺め。
天文時計の裏側。
細い路地。
サッカーの競技場。
そういえば、いつだったか、一人で草地に座っていたらチェコ語で話しかけられたことがある。
空港の近くで、やたら大きな白い倉庫が見える場所だった。
私に話しかけてきた男性は、どこから来たの? と英語でいう。
私は、チェコ語で話しませんか、とお願いした。
チェコ語で話せるなら、と笑顔で話してくれたその人は倉庫のなかに飛行機があること、そこで働いている整備士であること、自分はチェコ人とオーストラリア人のハーフであることを教えてくれた。
それで英語が上手なのかと思った。まだチェコ人で英語が上手な人は多くなかったころだ。
少し話して、「よかったら週末、金曜日に飲みにいかないかい」と誘ってくれたがとてもタイミングがわるかった。
その日は火曜日で、私が日本へ帰るのは木曜日だったのだ。
「残念ですが、金曜日はわたしはここにはいないんです。」
青空とプラハ城から眺めた町並み
もしまた彼と会うとしたら、プラハの飛行場の近くか、オーストラリアのどこかになるのだろう。 |
|