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あきら「茶柱句会 第三部 第44回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第44回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
2013年5月8日〜5月22日締切り
1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ト以内
兼題 <青嵐(あをあらし)><藤><筍>
自由題 当季(初夏・夏)



男には漢(をとこ)のアジト青嵐

摺足や筍の秀を当つ手足れ

房長き野田藤を愛ずDNA

酌をする藤の簪(かんざし)風薫る

一尺の穴子天麩羅新聞紙

歩道橋の降り際に見ゆ桐の花
(以上六句  大阪市 あきら)


鯉幟腹いっぱいの風を呑む

筍の到来多し鍋足らず

藤棚の甘き香の滴りぬ

一色の衣うれしき藤の花

大輪の大胸筋なりクレマチス

梅雨近し桐生土産に藍の布(きれ)
(以上六句  横浜市 兎巣)


字句補足説明
順番に
青嵐 筍 藤 風薫る 穴子 桐の花と初夏から夏の季語 
<アジト>は近頃あまり使わないが「隠れ家」という程度の意味
元来はロシア語のアジトプンクト(agitpumkt)の略 
煽動司令部や左翼活動の活動基地(非合法活動家の隠れ家)という左翼用語
<筍>は地上に姿を現す前に採ったものが上物とされる
眼では見つけにくいので 手足れ(名人)は摺足で林に入り
僅かな突起を探り当てるという 
昨今はなんでも産地やブランドで判断し勝ちだが
丁寧に育てられ基本に忠実に収穫されたものはどの産のものでも美味い
<野田の藤>は古来から大阪の北西部野田村に自生していた品種を
鑑賞用に栽培して愛でてこられた房の長いことが特徴
瀬戸内の小さな漁港を訪ねると獲れたばかりの魚を小売している
なかには<穴子>のように一尺ほどの大きさのものを丸ごと天麩羅にして販売
見てくれは悪いが古新聞で包んでくれる 
<桐の花>桐は高木なので花の位置も高い
歩道橋の高さからはま近に見える この桐の花は大阪城の近くにある
ま近に眺めるとなかなか豪華なものだ
兎巣さんの句
順番に鯉幟 筍 藤棚 藤の花 クレマチス(鉄線花) 梅雨近しと夏の季語
クレマチスといえば洋風 鉄線花といえば茶席にも好まれる紫の凛とした茶花
大胸筋という措辞が兎巣さん流


<同人欄>

「住吉」あきら(代表同人)vol.32

ちんちん電車知己の家並みを鯉幟

青嵐丹の反橋は抗はず

墨江を偲びし薄暑高燈籠

片蔭の軒端の甍熊野道

歌ひ舞ふ御田植神事見に行かむ

字句補足説明
表題の「住吉」は飛鳥や平城京よりも古い
住吉津(すみのえのつ)にある住吉大社
古事記では<墨江>などと表記されている
住吉津は難波津よりも古くから栄えた港 
仁徳天皇の御代に堀江が通じ大阪湾からの船が淀川に直接入れるようになるまで
シルクロ−ド経由の日本の主要港だった
住吉は航海の神「住吉大神」の鎮座する地として尊ばれ遣唐使船などは住吉から
出航することが多かった(住吉大社HOPEゾ−ン協議会10周年記念誌による)
全国各地に住吉という地名や住吉神社という名があるがここが発祥の地
<ちんちん電車>阪堺電車(大阪阿倍野橋〜堺市宿院や浜寺)の路面電車の愛称
住吉駅や住吉鳥居前駅が最寄り駅
<反橋(そりはし)>僕らは子どもの頃半円の形から「太鼓橋」と呼んでいた
<高燈籠>かつて海が間際にあった頃の木造の灯台 古への墨江を偲ぶよすが
現在海は遥か西に後退 高灯籠は陸に取り残されている
<熊野道>熊野街道(天満八軒家から上町を通り熊野大社に至る参詣道 
いまでは熊野古道と呼ばれる)
<御田植神事(おたうゑしんじ)>毎年6月14日 神功皇后の御代から営まれる
五穀豊穣を祈念する神聖な神事(重要無形民俗文化財)
順番に鯉幟(こいのぼり)青嵐 薄暑(はくしょ)片蔭(かたかげ)
初夏から夏の季語


「藤 紀行」兎巣(同人)vol.9

足利の大き藤棚見晴るかす

音楽は静かに流る藤の庭

金鏈(きんぐさり)名前めでたき黄藤かな

白藤の鉢は斜めに運ばれし

浅間山夏霧の里機(はた)の里

字句補足説明
順番に藤の花 藤棚 藤の花房 黄藤 白藤 夏霧と夏の季語
   兎巣さんの桐生・足利を巡る「藤 紀行」
桐生は群馬県にあって 古く奈良時代から絹織物の産地
足利は室町幕府の初代誠意代将軍足利尊氏の足利氏の本拠地
日本最古の学校「足利学校」があった
1952年(昭和27年)には無頼派の作家坂口安吾(1906〜1955)が桐生に移住
関西からは馴染みの少ない土地ながら これを機に学んだことをご披露
近傍の富岡製糸場は日本初(1872年(明治5年))の洋式工場として名高い
また高崎市には群馬県立土屋文明記念文学館(1996(平成8)年開館)があり
そのリ−フレットを眺めると
<はにわとシルクと文学>というフレ−ズが目を惹く
この辺り 古名を上毛野(かみつけの)という
この文学館も上毛野はにわの里公園内にある
文学館の代表的なコレクションの一つ 
歌人で万葉学者土屋文明(1890〜1990)著
「萬葉集上野國歌私注」(1944年(昭和19)煥乎堂)
「万葉集」巻十四「東歌」には 
群馬県を詠んだ歌が全国で最も多く収められている
文明がそれらに注釈を加えたのが
本書「古代ぐんまの東国文化」を偲ぶことができる
兎巣さんの「藤 紀行」であらためていろんなことを想起させられた


第1回立柱賞受賞記念俳論 はつを(同人)
連載「月山へ─芭蕉追慕の旅─」vol.4


<要約メモIII>
奥の細道」芭蕉の名句誕生の地で俳句を詠む

第2回目の旅(はつを)平成20年7月10日〜7月18日
凡例 各章の内容及び俳句や本文が踏まえている文学的根拠
(古歌・古典・漢詩文等)
<>内は本文の章の名称・「 」内は奥の細道の本文・
( )内は歌枕等の詳細を記す
文中の句の後尾の(芭)は芭蕉の句 (は)は作者はつをの句を示す

<尿前ノ関>元禄2年5月15日(陽暦7月1日)(はつを・陽暦平成20年7月10日)
尿前(しとまへ)から酒田の「封人の家」までは当時出羽街道中山越えの難所
封人の家(国境警備の庄屋)で風雨に遭い逗留
蚤(のみ)虱(しらみ)馬の尿する枕元(芭)封人の家木馬尿せぬ梅雨の明(は)
<(山刀伐峠)>5月16日(7月2日)(7月11日)
屈強の若者警護に雇う
「高山森々として一鳥声聞かず」「雲端につちふる心地して」
杜甫・王安石の漢詩
<尾花沢>5月17日(7月3日)(7月10日)
「富める者なれど志いやしからず」の弟子の豪商清風の計らいで11日間滞在
7日間滞在した養泉寺に涼し塚有・当時の面影有・青田から月山見ゆ
涼しさを我宿にしてねまる也(芭)這ひ出でよ飼屋が下の蟾(ひき)の声(芭)
眉掃きを俤にして紅粉の花(芭)尾花沢涼し塚こそ涼しけれ(は)
<立石寺>5月27日(7月13日)(7月11日)
「尾花沢より7里、その日暮れず山上の堂に登る・・・
佳景寂冥として心澄みゆく」
閑けさや岩にしみ入る蝉の声(芭)千年の法の火涼し立石寺(は)
<大石田>5月28日(7月13日)(7月11日)
大石田で船日和待ちの間 風流人の依頼で歌仙
五月雨を集めて早し最上川(芭)
6月2日(7月18日)(7月12日)
元禄の風や最上川の舟遊(は)
<出和三山>6月3日(7月19日)(7月13日)
羽黒山
月山
湯殿山
ありがたや雪をかをらす南谷(芭)涼しさやほの三日月の羽黒山(芭)
雲の峰いくつ崩れて月の山(芭)
河骨の花のさかりや南谷(は)(平成22年度伊賀市 芭蕉顕詠俳句大会特選)
俳聖の跡をたどるや雲の峰
6月9日(7月26日)(7月16日)
山清水これが地獄や月光坂(は)
<鶴岡>6月10日(7月26日)(7月17日)
長山重行(武士)宅で3泊 体調悪し
<酒田>6月13日(7月29日)(7月17日)
淵庵不玉(医師 地元俳諧の重鎮)宅で3泊 俳席頻繁
あつみ山や吹浦かけて夕すずみ(芭)暑き日を海に入れたり最上川(芭)
6月24日(8月9日)(7月17日)最上川酒田の街の暑さかな(は)
<象潟(きさがた)>6月16日(7月26日)(7月17日)
松島との対比 能因・西行の歌枕(象潟に2泊3日滞在・舟で象潟の海を周遊)
「松島は笑ふがごとく、象潟は憾む(うらむ)がごし。
寂しさに悲しみ加えて・・・」漢詩文的
象潟や雨に西施がねぶの花(芭)汐越や鶴脛ぬれて海涼し(芭)
6月16日(7月28日)(7月18日)
合歓咲くやふつくらしたる西施像(は)
(平成24年度伊賀市芭蕉顕詠俳句大会・金子兜太入選)
<つづく>
本稿は「奥の細道」原文に沿って現地を踏破された作者が
要約されたものを編集したものです
原文・現代語訳・朗読などはインタ−ネット検索でも触れることができます
(文責あきら)

<講評 あきら(茶柱句会主宰)>
参加者2名(279名)参加句数12句(645句)と低調( )内は累計
同人のはつをさんの第1回立柱賞受賞記念寄稿の連載中も4回を数え
補遺を残すばかりとなりました
<要約メモ>は奥の細道のエッセンスであり はつを俳句の軌跡
これを読んで辿れば 奥の細道の文学探訪
しかも西行→芭蕉→はつをと繋がる<志の連鎖>はつをさんを通してグッ接近
はつをさんは連続参加が途切れて残念だが 次回のご参加をお待ちしています
兎巣さんは行く先々で俳句を詠む習慣をしっかりと自得された
この調子で継続されることを期待しています
いまは<口語新かな>遣いで表現されているが 
そろそろ<文語旧かな>で表現することを検討してもよいのでは・・・
その選択は兎巣さんが自分で決めることが大事
残念ながら天白さんは連続欠詠 一旦停止すると再起動がますます困難になる
せっかくの天白さんの才能と俳句的生活の習慣を途絶えさせてはもったいない
ここ一番が踏ん張りどころ 
<富士山に登ろうと心に決めた人だけが富士山に登ったんです。
散歩のついでに登った人はひとりもいませんよ>
ジョ−ジ秋山さんの漫画「浮浪雲」である。
斉藤孝さんの「説教名人」(文芸春秋)から孫引きさせてもらった。という
冒険家の三浦雄一郎さんが史上最高齢の80歳で世界最高峰の
エベレスト(8,848m)に登頂したことに関連する一文2013.5.24付け読売新聞
編集手帳からの孫引き(ひ孫引き)で恐縮ながら天白さんに贈ります
人はよくマスコミがセンセ−ショナルに取り上げることに関心を奪われ勝ちだが
むしろ僕らの句友 はつをさんの奥の細道・芭蕉追慕の旅vol.4
(ことに月山登攀)に静かに拍手を贈りたい 
身近にある出来事の素晴らしさに気づき表現するのも<俳句>

─俳句なう─
第45回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
5月8日〜5月22日締切り  6月8日掲載予定
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−トまで)


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