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あきら「茶柱句会 第三部 第43回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第43回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
2013年4月8日〜4月22日締切り
1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ト以内
兼題 <エープリルフ−ル(四月馬鹿)>
自由題 当季(春)



エープリルフ−ル「サヨナラ」ダケガ人生ダ

和ごゝろの桜あんぱん開化かな

巡ること自体がア−ト島遍路

ひらがなのくにこそよけれ木の芽和

凄まじき公転自転花は葉に

蘂(しべ)の上蝶の輪舞曲(ロンド)は命がけ
(以上六句  大阪市 あきら)


落柿舎に芭蕉来たとか万愚節

嘘一つつかぬと議員四月馬鹿

云い切れぬ日本沈没万愚節
(以上三句  加古郡 はつを)


枝枝に小紋の如し若緑

カーテンや句読点なき春の風

花水木隠しおりけり季の釦
(以上三句  横浜市 兎巣)


字句補足説明
順番に
エープリルフ−ル(4月1日) 
桜あんぱん 遍路 木の芽和 花は葉に 蝶が春の季語 
兼題のエ−プリルフ−ルはちと俳句には難解だったかもしれない
英語表記では<April Fools Day>発祥については諸説あって不明
僕の推測だがこの手のユ−モアは英国ではないだろうか
BBCがペンギンを飛ばしたりする特集放映を目にすることがある
エ−プリルフ−ルズとは4月1日に騙された人たちのこと
<「サヨナラ」ダケガ人生ダ>唐詩選の五言絶句の中に
<人生足別離>の一句あり
作家の井伏鱒二(1898〜1993)が掲句のように翻訳(超訳)した 見事
9Cの唐の詩人 于武稜(うぶりょう)の「勧酒」
下し読みにすると<君に勧む 金屈巵(きんくつし) 満酌 
辞するを須(おも)いず
花発(ひら)けば風雨受く 人生別離足(おお)し>となる
(読売新聞2013.3.3日曜版)
僕が敬愛した人の追悼文集にもこの詩や原文を墨書した作品が掲載されていた
句としては <エープリルフ−ル>と井伏鱒二の訳詩との取り合わせ
<あんぱん>は銀座の木村屋が日本で始めて製造販売した
明治天皇に献上した明治元年4月4日を木村屋では<あんぱんの日>としている
<桜あんぱん>は木村屋でも製造しているが 
ネット検索するといろんんなパン屋さんが製造している
<酒種 桜あんぱん>が木村屋のオリジナルらしく 盛んに広告されている
今回は正式な春の季語というわけでもないが<桜>に因んで
春の季語として扱った
いつか<あんぱん>だけで春の季語になる日が来るかもしれない
<遍路>は弘法大師が開いた四国八十八ケ所の霊場を巡礼すること 
春の季語
四国四県にわたり約1,300km
この句では 「瀬戸内国際芸術祭」直島(香川県)を基点に
近傍の島々で開催された 従来からのベネッセハウスミュ−ジアム 
地中美術館 李寓煥(イ−ウ−ファン)美術館なども
建築家の安藤忠雄さんの設計による
古民家と安藤コンクリ−ト打放しを合体させた
<ANDO MUJIUM>が新たに完成
従来の遍路に加えて<島遍路>も一見の価値がある
<展示される作品や建築と共に鑑賞する人の行為そのものもア−トと化す>
島遍路は造語
<木の芽和>はもっとも春らしい食べ物の一つ
木の芽は木の新芽のことだが 特に欠かせないのは香りたつ山椒の若芽
さらに赤貝や烏賊などのこりこり感のある海のものが混ざれば申し分ない
細かく刻んだ旬のものを和へる この<和へる>という発想が<和の精神>
足し算の答えも「和」と呼ばれる
<ひらがな>は中国の漢字を下敷きにして発明された日本の文字文化
木の芽和とひらがなはとてもよく似ている
<花は葉に>桜の花が散って葉桜になっていく感慨 今年は全国的に開花が早く
文字通りパッと咲いてパッと散ってしまった 
また冬のような寒い日に戻ったりする
それ故 猛烈なスピ−ドで太陽の周りの楕円軌道を
1年がかりで公転しつつ自転する我らが惑星(地球)のことを考えさせられる 
奇しくも4月22日はア−スデイ(地球環境のことを考える日)
蝶はか弱くみえるが獰猛な一面もあるらしい 
雌の奪い合い・縄張りの奪い合いなどは命がけの戦いになるとの観察がある 
なにげなく見ているとダンスを楽しんでいるように見えるのだが

はつをさんの句
兼題のエ−プリフ−ルの洒脱な応用編
万愚節(まんぐせつ)はエ−プリルフ−ル=四月馬鹿という直訳より
本質をついた日本語訳 歳時記にも正式に掲載されている春の季語
二句目 クレタ島出身の哲学者・クノッソスのエピメニデスの
パラドックスを想起させる
有名な<クレタ人は皆嘘つきだ>はレッキとした論理学の課題

兎巣さんの句
順番に若緑 春の風  花水木が春の季語
兎巣さんなりの比喩の個性的な表現
一句目 下五の若緑が瑞々しい これぞ春の息吹
二句目<句読点なき春の風>が兎巣さんの感性
窓を開けてカ−テンが緩やかに揺れている春の風
三句目原句は<春の釦>だったが 字数調整で<季の釦>と推敲
季語は<花水木>で晩春なので<春>では却ってくどい
花水木はアメリカ山法師のこと
戦後 日米友好の証しとして日本からは桜(ソメイヨシノ)が
ワシントンのポトマック河畔に贈られ 米国からは花水木が贈られた経緯がある


<同人欄>

「桜の通り抜け」あきら(代表同人)vol.31

外つ国の言葉とび交ふ桜道

丹精の三百有余八重桜

大輪のタンポポ転ぶ花の下

今生の交々(こもごも)至る花盛り

通り抜けて泉布観にも桜かな

字句補足説明
表題の「桜の通り抜け」
「平成25年造幣局桜の通り抜け」というのが正式名称
今年は4月16日から4月22日まで
造幣局の構内(南北約560m)に130品種352本の八重桜が栽培されている
明治新政府の重要施策として1868年(慶応4年・明治元年)大阪に貨幣鋳造を目的とした造幣寮(現造幣局)が開業された
泉布観(せんぷかん)は1871年(明治4年)総煉瓦造2階建(国の重要文化財)
招聘された英国の建築技師ウォ−トルスの設計監督によるコロニアル様式
創業当初の造幣寮の応接所として建てられた
「泉布」は貨幣のこと「観」は建物の意味 明治天皇の命名
季語は順番に桜道 八重桜 タンポポ 花盛 桜


「イヨマンテ」はつを(同人)vol.29

イヨマンテ春に捕えし熊殺め

畑打つやこの故郷に生き来れば

種袋振るや希望の音すなり

パスポ−トみんな忘れて鳥帰る

音立てて庭木芽吹けりやはらかく

字句補足説明
順番に春 畑打つ 種袋 鳥帰る 芽吹きと春の季語 
  <イヨマンテ>はアイヌの儀礼の一つ
ヒグマなどの動物を殺して その魂を神々のカムイの世界へ送り帰す祭のこと
はつさんの心情は二句目<畑打つやこの故郷に生き来れば>に端的に現れている
<畑打つ>は田打(たうち)の傍題の春の季語
種袋には生命が宿っている 乾燥したカサカサ音に希望を見出す作者
古希を過ぎたはつをさんは趣味というには 本格的な田畑を耕作されている


第1回立柱賞受賞記念俳論 はつを(同人)
連載「月山へ─芭蕉追慕の旅─」vol.3


<要約メモ II>
「奥の細道」芭蕉の名句誕生の地で俳句を詠む
第3回目の旅(はつを)平成21年6月7日〜6月14日
(H20年岩手地震の為時期変更)
凡例 各章の内容及び俳句や本文が踏まえている文学的根拠
(古歌・古典・漢詩文等)
<>内は本文の章の名称・「 」内は奥の細道の
本文・( )内は歌枕等の詳細を記す 
文中の句の後尾の(芭)は芭蕉の句 (は)は作者はつをの句を示す

<須賀川>元禄2年4月22日(陽暦6月9日)(はつを・陽暦平成21年6月7日)
「白河の関いかにこえつるや」等窮(須賀川の地主で芭蕉より
先輩の蕉門外の俳人 芭蕉の力量を問う俳諧的試練)等窮宅で7日間宿泊
風流の初やおくの田植うた(芭)  
「世をいとふ僧」隠棲する僧可伸を憧れの人西行に重ねて描く
世の人の見付けぬ花や軒の栗(芭)阿武隈の川ごと落ちて乙字ヶ瀧(は)
<浅香山> 5月1日(6月17日)
「かつみかつみと尋ありきて」歌枕(古今集で中将実方の
「みちのくのあさかの沼の花かつ見るに恋ひやわたらむ」による 
風流人の面目躍如)
<黒塚>5月1日(6月17日)(6月8日)
「黒塚の岩屋一見」(当地の謡曲「安達が原」の世界を擬似体験する紀行文)
<信夫ノ里>5月2日(6月18日)(6月9日)
「しのぶもぢ摺の石」歌枕(源融(みなもととうる)の和歌を踏まえている)
早苗とる手もとや昔しのぶ摺(芭)
<飯塚ノ里>5月2日(6月18日)(6月9日)
義経の忠臣佐藤義信・忠信の菩提寺の医王寺で義経伝説に感涙する
笈も太刀も五月にかざれ紙幟(芭)忠臣の武装の妻の目や涼し(は)
貧家の土間に寝て雨漏・虫・持病に苦しみ 道中の死の覚悟を漢文調で認める
<武隈ノ松>5月4日(6月20日)(6月9日)
歌枕(西行・能因・橘季道の和歌)
笠島はいづこさ月のぬかり道(芭)
桜より松は二木を三月越シ(芭)二俣の松の根同じ四片かな(は)
<宮城野(仙台)>5月4日(6月20日)(6月10日)
歌枕(歌枕好きの芭蕉は躑躅が岡の歌枕の案内を風雅な加右衛門に頼む)
芭蕉にとって伊達氏の城下よりも風流に徹した画工加右衛門に焦点を当てた
あやめ草足に結ばん草履の緒(芭)
(歌枕の十符ノ菅にて)菅刈るや献上の菰編みし里(は)
<壷ノ碑>5月4日(6月20日)(6月10日)
「古人の心を閲す」歌枕(新古今集・山家集の西行 大伴家持らとの対話)
<末の松山>5月4日(6月20日)(6月10日)
歌枕(東歌「君をおきてあだし心をわがもたば末の松山波もこえなむ」等)
「はねをかはし枝をつらぬる契」は白楽天「長恨歌」の比翼ノ鳥とならんによる
<塩竃>5月8日(5月24日)(6月11日)
塩竃神社内に和泉三郎寄進の灯篭あり 
三郎が父秀衡の遺命を守り義経に味方した忠衡を讃えている
<松島>5月9日(6月25日)(6月12日)
序章で「松島の月先心にかかりて」と書く程に旅の大きな目的の一つ
「二重にかさなり三重に畳みて 左に別れ右につらなる」は漢詩の七律調
「窓を開き二階を作りて風雲の中に就寝する」
<(瑞巌寺)>5月9日(6月25日)(6月12日)
松島の松に上げたる月涼し(は)
<石巻>5月10日(6月26日)(6月11日)
「海上に見わたし数百の廻船入江に集ひ・・・」石巻の経済的繁栄を見る
<平泉>5月12日(6月28日)(6月13日)
「国破れて山河あり 城春にして草青みたり」杜甫・湖伯雨の漢詩より
夏草や兵どもが夢の跡(芭)束稲山も北上川も見ゆ夏野かな(は)
五月雨を降りのこしてや光堂(芭)秀衡の都の跡や大西日(は)
<つづく>
本稿は「奥の細道」原文に沿って現地を踏破された作者が
要約されたものを編集したものです
原文・現代語訳・朗読などはインタ−ネット検索でも触れることができます
(文責あきら)

<講評 あきら(茶柱句会主宰)>
参加者3名(277名)参加句数12句(633句)( )内は累計
同人のはつをさんの第1回立柱賞受賞記念寄稿の連載中(全5回+補遺)
<要約メモ>は奥の細道のエッセンスであり はつを俳句の軌跡
これを読んで辿れば 奥の細道の文学探訪
しかも西行→芭蕉→はつをと繋がる<志の連鎖>はつをさんを通してグッと接近
兎巣さんの個性的な比喩 この感覚を一層研ぎ澄まして継続して下さい
残念ながら天白さんは今回も欠詠 一旦停止すると再起動がますます困難になる
せっかくの天白さんの才能と俳句的生活の習慣を途絶えさせてはもったいない
ここ一番が踏ん張りどころ 次回は是非ご参加下さい

─俳句なう─
第44回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
5月8日〜5月22日締切り  6月8日掲載予定
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−トまで)
兼題 <青嵐(あをあらし)><藤><筍> 
あるいは自由題(当季 初夏)
今年は5月5日立夏から8月7日立秋の前日までが
歳時記上の<夏>になります


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第60回
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第59回
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