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「未熟とは「未(いま)だ熟さぬものの、やがて確かに熟するもの」のことをいう。いつまでも熟することのないものは「不熟」といい、結局は、熟することなくいのち果てるもののことだ。つまり「未熟」と「不熟」は対極(正反対)に位置するものである。というわけで「未熟なる若い衆」とは「有望な可能性に充ちた若者」の意味である。

第1回「人間の心も金で買える?」

IT産業のヒーローといわれてきた33歳の堀江貴文という男が、得意になって「人間の心も金で買える」などとしきりに口走っていた。
 そのこと自体が〔異常〕であった。
 せめて「人間の心以外のモノはすべて金で買える」というのなら、アリキタリではあっても「卑しい成り上がり者」などがよく口にする常套句として聞き流したろう。

フランスの劇作家モリエールの戯曲に「守銭奴」というのがある。
 パリの大金持ちの商人であるアルパゴンというこの男、「出すものはクシャミも屁もイヤだ」という「拝金主義」の権化のような人物だ。
 たまたまアブク銭を持った人間は例外なく強欲の穴ボコに嵌まるが、このアルパゴンも、娘のエリーゼをすぐにでも死にそうな大金持ちの老人にくっつけようとし、さらに息子のクレアトンには、これも財産を持っている老未亡人と結婚させようと画策する。
 もちろん、娘と息子の相手の財産めあてである。
 しかも自分はとびっきり若い娘を妻にしようと、あれこれ悪知恵を駆使するのである。
 だが、このアルパゴンがつけ狙う若く美しい娘マリアンヌは、実は息子の恋人とあって、さすがのアルパゴンも大困り。
 さらにこの強欲ジジイは、思いもかけない運命のいたずらにキリキリ舞いをするという金銭欲・物欲・色欲をモチーフにした爆笑名作喜劇である。

最近では、金儲けのためにはマンションやホテルの偽装設計、手抜き建設も堂々とやってのける破廉恥集団の詳細や、おのれの異常性欲のためには手当たり次第に幼女を犠牲にする宮崎某の事件などなどが、人間の得手勝手な強欲がつねに現代社会に跳梁跋扈していることを証明している。
 今回のライブドア事件もその内容は〔偽装〕や〔詐称〕または〔自己偏執〕という点で、(さらにライブドア事件では「偽計取引」「粉飾決算」などといういかがわしい用語も登場していたが)欠陥マンション事件や宮崎某の事件と何ら変わることはない。
 そうでなくても「狂ったサルのような人間」がどんどん増殖している昨今、若者たちがたちまち〔悪のドツボ〕に嵌る可能性は高い。
 一回こっきりの人生を「金で何でも買える」とばかり自家用ジェット機までモノにした男が、図に乗って手錠や刑務所や前科という履歴まで買い込むのでは、と思わせるヒストリーは、喜劇なのか悲劇なのか。
 いや、「喜劇はつねに悲劇と背中合わせ」といわれているからどっちともとれるよね。

だれでもカネは欲しい。
 しかし、その欲の質の吟味と、賢い方向づけを無視する者には、つまりは明日はないんだね。
 詩人バイロンがいっているよ。
「最高の予言者は〔過去〕である」と。
 蛇足--悪いことをした奴には、いい未来はないということ。
 なにはともあれ「正」と「邪」、さらに「実」と「虚」の分別さえつかない欠陥人間には、明るい将来も、希望ある未来もないということだ。
 さて、若者よ、君はダイジョーブかい?

という一文をまとめた日は(1月20日)だったが、「堀江容疑者逮捕」という事態になった。
 彼はしきりと「自分でルールを作る。それでコトが運べば神になれる……」とか「世界一になる」といった意味のことを口走っていた。
 すくなくともこの種の人間を常識人たちは「虚言癖がある」とか「誇大妄想だ」とよんできた。でも最近はそんなアブノーマルな人間が社会のまん中をでかい面して闊歩する。
 しかも小泉ソーリとか、タケベ某とか政治の中枢にいる者がチヤホヤする。さらにイシハラ都知事や経団連のオクダというおエライさんなども色目を使っていた。

人間、だれしも夢を見る。しかし、その〔夢〕というモノは、たんなる妄想や、犯罪にからむものであっては意味がない。
 若者よ、君の〔夢〕にはリアリティがあるか。それを実現化するにあたっての行動と質に〔虚〕は混在していないか。厳重にチェックしてほしい。
 欲まみれ、金まみれのカンカン踊りを踊った者たちを思いつくままに挙げてみる。タナカカクエイ、カナマルシン、ツツミヨシアキ、ナカウチコウ……キリがないのでヤメタ。
 それにしても、あのホリエモンという男を先物買いしてチヤホヤした者たちの体質や精神はやっぱりいかがわしい。
 でも若者たちよ、ホリエと違って、ジジイたちはウソをつくにの数等したたかなのだよ。

もうひとつ、それにしても、ホリエの見た「世界」ってなんだったのだろうね?
 家賃220万エンの住居から、暖房なしの独居房へ移って、それそのものが地獄のようなものだろうね。成り上がり者って、例外なく哀れだ。

看板イラスト/河添 宗輔(かわぞえ そうすけ)<AD・イラストレーター>copyright(c)Sosuke Kawazoe、
タイトルイラスト/剣持 潔(けんもち きよし)<イラストレーター>copyright(c)Kiyoshi Kenmochi

第11回
近況報告
来し方をふり返って

第10回
図にのるということ

第9回
思考の[生前硬直]

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