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「未熟とは「未(いま)だ熟さぬものの、やがて確かに熟するもの」のことをいう。いつまでも熟することのないものは「不熟」といい、結局は、熟することなくいのち果てるもののことだ。つまり「未熟」と「不熟」は対極(正反対)に位置するものである。というわけで「未熟なる若い衆」とは「有望な可能性に充ちた若者」の意味である。

第24回 「いまどき、手放しでヨロコベルことなどある?」

あけましておめでとうございます。

●たとえば、税務申告書の職業欄には「文筆業」と記入する。
エッセイなどのクレジットでは「作家・脚本家」である。
かつて、広告(グラフィック・TVCF)など、かなりムキになってやった時代があるので、コピーライターやプランナー、ディレクターも混在していた。

●昨年2014年、書籍のブックデザイン(装丁・装画)のプロ集団である
『図書設計』――その同名のタイトルの会報誌から原稿依頼をうけた。(※)

●電子書籍とやらの利便性はそれはそれとして、本というもの、とりわけ自ら買い求めたものは、つねに身近になければ気が済まないし、意味がないと思い込んでいる人間だから、書斎はまるで古書店の倉庫のようになる。

●会誌(季刊)で2回にわたっての連載ということで即お引き受けした。
『物書き業道中控/仕事と人と本と書斎と』と題して書きまとめた。
サブタイトルは『本宇宙20』とあった。
(編集長谷口純平氏/編集コーディネート小林敏雄氏/デザイン・レイアウト石間淳氏)

●正直、ラジオ・テレビ等の放送作家としてスタートしたから、放送台本・脚本類は毎年「山ほど」あった。
たとえば、床にその台本・脚本を重ねるとだいたい「ヘソ」のあたりまで――という年が続いたものだ。(ON AIRが終わればすべて消える)

●それで、「思いあって」小説に転身、「文庫書き下ろし時代小説」に挑戦、共著も入れるとざっと50冊ほどになり、その他、ノンフィクション五七五もの、そして広告評論、自己啓発書などなど入れると……さらに『ブレーン』『宣伝会議』などの業界誌にもあれこれ書いた。

●「文庫書き下ろし時代小説」では1冊が400字詰め原稿用紙300枚〜350枚。
表紙カバーに物語(内容)のイメージの絵(イラストレーション)があるだけで活字がびっしり。イキつくひまもない……作りだった。

●そして、今回の『図書設計』の拙稿『物書き業道中控』の仕上がりを見て、心の底から「なるほどなぁ」の感心をしたのだ。

●うんざりするほど大量の原稿用紙に字を書いてきたが、その拙文をこんなにていねいに、印刷物としてまとめてくれたという例は過去にはなかった……という実感がある。

●映像・音声中心の表現物でショーバイしていたとはいえ、もともと本好き人間。
書斎にキープするだけではなく、自分の著作本も山ほどある。
しかし、今回の『物書き業道中控』の仕上がりを見て、あらためて、「本作りのプロの心意気」を感じて正直、ナミダさえ出たのです。(そりゃトシのせいだろう。オーバーなどとは言わないでネ!)

●校正・校閲、そして大見出し・小見出し、そして、挿入写真のクレジットの扱いなどなど、自分の書いた文章を今回のようにていねいに扱ってもらった経験は過去にありません。

●つまり――
本屋さんに出向いて、その本を買い求めて下さった人を、快くお迎えする細やかなおもてなしの心がそこにある――と思うのです。

●この思いが、今回の表題「いまどき、手放しでヨロコベルことなどある?」になりました。

●関係スタッフの皆様、そして『図書設計』会員の皆様に感謝です。

●新しい年2015年に「手放しでヨロコベルこと」が、皆様にもいくつもありますように。
(※)協会名は正式には日本図書設計家協会(茶柱編集人谷口純平記)


協会の立派な作品集




会報誌(NO88号)の表紙




拙稿1




拙稿2




拙稿3



おヒマの折には小生のHP
「社会&芸能つれづれ愚差」
http://www.mochi-well.com/
をご覧ください。

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「それにしても……」
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ヨロコベルことなどある?

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作家・錯覚・三角・四角

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