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「未熟とは「未(いま)だ熟さぬものの、やがて確かに熟するもの」のことをいう。いつまでも熟することのないものは「不熟」といい、結局は、熟することなくいのち果てるもののことだ。つまり「未熟」と「不熟」は対極(正反対)に位置するものである。というわけで「未熟なる若い衆」とは「有望な可能性に充ちた若者」の意味である。

第2回「ENTREPRENUR」という言葉

いまから十数年前(1989〜1990)にかけての1年間、TBSラジオでの毎日1時間の生番組「好奇心の大統領」というタイトルの「企業オーナーVS就職直前学生の討論番組」の制作を担当したことがある。
 キャスターは経営コンサルタント植山周一郎氏、ジャーナリストの嶌信彦氏(そしてイチロー選手のおヨメさんになった福島弓子サンなど)のとても真面目な番組だった。
 まだご存命だったSONYの盛田昭夫氏など一流企業の経営者の出演で、これから社会へ出る学生諸君に3〜4年の社会人の先輩諸君を交えてのディスカッションは、おチャラケ番組ばかりのように思える民放局ではきわめてユニークだったように思う。

ただ、まだあのバブル期の後期で、就職は完全に「売り手市場」だった。
 就職内定を手にした学生諸君は、ハワイのホテルに合宿しての事前セミナーなどでたっぷり観光気分を楽しんだようだ。先輩諸君もフランス製のスーツにイタリア製のシューズ、女性たちもシックな高級ファッションで着飾り、ボーナスは300万円などと口走っていた。

その時に学生諸君からもらった名刺がウンザリするほどある。その名刺にはきまって「ENTREPRENUR」というワーズが刷り込まれている。これはフランス語で企業家という意味だ。
 いや、名刺だけではなく、学生諸君はまるで呪文のように「アントレプレナー」という言葉を口にしていた。

そういえば、堀江という男も十数年前の学生諸君と同種同類らしいが、彼にまつわる報道の中ではついぞこの言葉は耳にすることがなかった。
 あのとき「我れこそはアントレプレナー」と声を大にしていた諸君はいま、どうしているのか。まるで熱にうかされたように「アントレプレナー」と連呼していたその後はどうなったのか知りたい。

仕事と人生

仕事と言うと、どうも古くさく聞こえる。でもいまぼくの文筆業(時代小説作家&脚本家)となると、やはりこの言葉がぴったりくる。
 これをいまっぽくビジネスと言い直してもいいが、どうもこのヨコ文字には「偽装」とか「粉飾」とか「架空」とか、いかがわしい臭気まつわりつく。

ぼくは文筆業の中でもCM制作にずいぶん長く深くかかわっていたが「Coporate mind」とか「Coporate Philosophy」とかのテーマでさまざまな仕事(広告・TVCF制作)をした。
 近ごろの新聞の政治面や経済面や社会面を賑わしているさまざまな「事件」をつぶさに分析すると、そのほとんどの場合「Mind」とか「Philosophy」を欠落させている。
 すでに日本の伝統的習慣だった終身雇用制度は崩壊しているが、企業そのもの、そのビジネスそのものを信じられないのでは、就職そのものが成立しない。
 それでなくとも学業もイヤ、就職もイヤといった若者が増えているという困った時代だ。

呪文のように「アントレプレナー」を口にしていても何も始まらないが、かといって無気力の貝に閉じこもってしまっては一度こっきりの人生が腐る。
 やっぱり何かコレ!という仕事を見つけることだ。きっとソレがある。イージーな「ぬれ手に粟」とか「一獲千金」の代名詞のような「起業家」などという阿呆な呪文に惑わされなさんな。

演劇の不朽の名作といわれている「どん底」という戯曲のせりふに「仕事が楽しければ人生は極楽だ! 仕事が義務なら人生は地獄だ!」というのがある。
 どう間違っても、独房だの、手錠だの、裁判だの、懲役だのにつながるビジネスにかかわりなさんな、諸君!

「週変わりエッセイ・ニッポンの芸能人」http://www.mochi-well.com/
どうぞごらんのほどを。

第11回
近況報告
来し方をふり返って

第10回
図にのるということ

第9回
思考の[生前硬直]

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