道草其の二十
「遠距離散歩　事始め」

過日、2010年に入って最初の
遠距離散歩にでかけた

自宅のある東新宿から
新宿御苑、明治神宮を経て渋谷までの8km

途中二つの大型書店で休憩する以外は歩きづめ

日がな一日仕事をする時間が続くと
時折　無性に歩きたくなる
その日もちょうど仕事の中休みのような日で
目ざめた時から『頭が』と言うより
『体が』出かける事しか考えていなかった

食事もそこそこに
快晴の冬の空の下（もと）
歩き始めた

可能な限り
はじめて歩く道を選んで通りながら
道に面した路地中を覗く
ほんの数秒
大きな交差点に出るまで
その繰り返し



交差点に出ると四方八方に目をやる
あの道に入るとたぶん
あのあたりにでるかな
ここを左に曲がると○○方面
などと道選びをする

都市の散歩の楽しみは
こういった道選びを
自分の勘を頼りにしながら行い
その結果
思いがけない場所にでたりする事
と思っている

あーこういう風につながってんだ
おーここに出るのか
などという
大げさだが喜びに似た気持ちが
心に満ちる瞬間が
とても好きだ

買い物や食事のための外出と異なるのは
そういった瞬間を得るために
ひたすら一人で歩くということ

ランドマーク的な建物が
見えたり隠れたりするのを
何かかくれんぼの鬼を捜すような感覚で
目で追いかけて
ひたすら歩きながら
そして
ふっと
「こんな風にして老いてゆきたい」
などと思う



都市の入組んだ道また道を
うろちょろしながら
人生の探し物のことなどは
すっかり忘れて
歩き続ける人生
そんな事に時間を使い続ける男

楽しいんだから
仕方ない
うろちょろしている僕を見かけても
どうかそっとしておいてください（笑）



さあ、次はどの道？
＜じゅんぺい＞

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