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道草其の六
『からっぽのコップ』


時々、ものすごく淋しくなる時がある
理由もなく、とは言わない
たぶんいくつもの理由が集まって
もうどの理由がどうだから、なんていうレベルを越えて
それぞれの理由が一時(いちどき)に
一斉に喋りはじめたような感じ
もうそれは、自分の中では、凄まじい勢いで起る出来事で
それが一度(ひとたび)押し寄せると
自分では如何(いかん)ともしがたい状態になる





そんな状態になった、ある時
僕はふと、自分のこころが『からっぽのコップ』に
そっくりだなあーと思い
手近にある紙とペンを使って
『からっぽのコップ』を描きはじめた

17歳の時、である


描きはじめると不思議に
自分の中の『からっぽのコップ』に
液体のようなものが満ちて、
こころは次第に穏やかになってきた

以来 僕の淋しさと付き合う一つの方法として
自らの内側にある不可思議な形象を
実際に描き写すという行為を続けている


他にもある
『他』とは『淋しさと付き合う方法』ではなく
『喜び』や『愛しさ』や『怒り』や『倦怠』や『孤独』や
人間として生まれて感じる事のできる
およそ理性ではコントロールできない
ありとあらゆる感情たちと付き合う方法

その方法を見つけだしてゆく
あるいは誰かから学ぶ過程が
僕にとっては人生そのもの

見つけだし学ぶものの数は
年齢とともに増えてくるのだが
だからといって
人生が楽になるかというと
そんなことはなく
ましてや
自分が豊かになったなあー
なんて思えるにはほど遠く
あいかわらず突如出現する『からっぽのコップ』に
振り回されたりするのが
現状なのだ

ただ
年を重ねても変わらぬ自分のそんな在り方を
『嫌いか』
と問われれば
『んにゃ、好きだよ』
とは、言える、
かな

道草其の四十
『みらい -17-』
突然スクリーンが暗くなり

道草其の三十九
『みらい -16-』
向こうは朝で こっちは夜?

道草其の三十八
『みらい -15-』
潜水艇はゆっくりと上昇すると

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