日々の歌<3> ―十首―
潮丸のしこ名と丸まっちい体ゆえ
ひいきにすれど 星は上がらず
花粉症ぐらいに負けるは口惜しと思いつつ
涙ボロボロ 微熱まである
冬用の雪かきスコップ ゆう雪ホースなど
全てをしまえば 物置き満たん
雪の上の足跡ふしぎ 犬でもなし 熊だろうかと
あたり見まわす
雪の上をペンギン歩きで歩く私が
明るいショウウインドウに映っているよ
山の鳥と湖の鳥がニアミスもなく
空を行き交う 春めく日なり
かわいそうにこんなに冷えてと指先を
己が胸乳にあたためやりぬ
この雪の下に春まで埋もれている他はなき
犬のオモチャの赤いマリなど
雪のすだれの向こうに立ちて人を待つ
黒衣の女人の美くしきかな
半分まで雪に埋もれた物置の
扉は春まで開くすべなし |