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025 ラストサムライのお堂で初座禅

 先日、妹と2人で兵庫県の姫路にある「西の比叡山」とも呼ばれる天台宗の名刹の“圓教寺(えんぎょうじ)”で座禅をくんで来た。
 初座禅である。



 ほんとは座禅をくみたくて行ったわけではなくて、そのお堂にある仏像が見たかったのだが、座禅を組まないとお堂の中に入れないので電話で予約して行った。普段は毎週土曜日の午前11時にのみ行ってるそうだが、その時間には行けないので無理を言ってお願いした。

 姫路駅に降り立ち、バスに乗るって横目に姫路城をみて約30分バスに乗りロープウェイ乗り場に。そしてロープウェイに乗って山の中腹に到着。そこから目的のお堂の常行堂(じょうぎょうどう)までは、山道を20分くらい歩かないと着かないので、マイクロバスに乗る事に。
 拝観料と宝物館料込みで往復1000円。ちょっと高い気もするが仕方ない。

 バスは常行堂の手前の清水寺(きよみずでら)みたいな舞台のある“摩尼殿(まにでん)”前に到着し、そこから5分くらい歩いて常行堂に行ったら誰もいない。
 携帯で圓教寺に電話すると、「今から行きますので、そこで待っててください」とのこと。
 しばらくするとお坊さんがどこともなくやってきて、お堂の中でガタガタ音をたてながら準備をしてるのが、お堂の外にいる私たちにも聞こえてきた。

 「午後からのJRのツアーといっしょに座禅やってくれたらいいのに」となんだか文句をぶつぶつおっしゃってるのも聞こえる。
 「ごめんなさい、忙しいのに無理言って」と心の中でわびる。

 準備がすんだらお坊さんに呼ばれて、お堂に入る前に軽く座禅の説明を受ける。そして靴下を脱いで裸足になって、お堂には入るとお目当ての巨大な阿弥陀如来像(国指定重要文化財)が、ドンとお堂の真ん中におわする。

 ステキ!。

 そしてまるい座布団にお尻をあてて座る。
 正式には両方の脚をふとももにあげる結跏趺坐(けっかふざ)で座禅をするらしい。でも、無理なので片方だけの足を組む半跏趺坐(はんかふざ)のいわゆるあぐらをくむ。
 私はすんなりと組むとが出来たが、妹は体が硬いのかうまく組めず、四苦八苦している。

 それからお坊さんに「舌を上の歯の裏につけるとあまり唾液がでない。息は鼻から吸って臍下3センチくらいの丹田を意識する。自然のエネルギーを取り入れるように。呼吸の数だけ数えて無になるように、目は開けるのでも閉じるのではなく自分の1メートル先の床に視線を落とし、半眼の状態に」といろいろ教わる。

 お坊さんも一緒に座禅を組む。
 静かな時間が流れる。
 もちろんいきなり無になることなんかできない。



 中学の頃の、部活で剣道やってたときも毎日こんな風に、目を閉じて正座して黙とうしたな〜とか思い出す。次第に足が痛くなってきた。
 しばらくすると、お坊さんが立ち上がりお堂の中心にいる仏像の周りをぐるっとゆっくりと周りだした。お坊さんが仏像の影で、死角になったところですばやく足の体制を整えなおした。妹はかなり足が痛いようで、がさごそしている。

 一週回ってきて妹の前にお坊さんが立つ。事前の説明で言われた通り、前で手をあわせ深くお辞儀する。そして背中を棒でばしばしとたたかれる。
 今度は、私の番だ。同じようにお坊さんが私の前に立つ。手を合わせ深くお辞儀する。背中をたたかれるが思ったほど痛くはない。足のほうが痛い。お坊さんはもう一周して、また座禅に戻った。結局45分間座禅を組んだんだけど、長かった〜。足がしびれててすぐには立てないので、終わってからしばらく雑談というか説法を聞く。

「このお堂に映画“ラストサムライ”の撮影でトムクルーズと渡辺謙が来たんですよ。私も映ってるDVD買って見てください」というようなお話だった。
 お坊さんなのに、ミーハーだ。座禅のお代はとられなかった。

 よく見るとお坊さんの袈裟は穴だらけでぼろぼろ。こんな山奥だから、あんまり人も来なくて儲からないのかな〜とちょっと同情。
 そもそもなんで、この山奥のお寺でラストサムライのロケが行われるようになったのかというと、姫路城に訪れていたエドワード・ズウィック監督を、時間が余ったので土地の人がついでに圓教寺に案内した。すると監督が圓教寺を気に入って、ロケ地に選んだそうだ。

 座禅が終わり山をロープウェイで降りてすぐ近くにある和菓子屋さんに行くと、トム・クルーズとその当時のトムの彼女のペネロペ・クルスの写真が飾ってあった。
 その写真の横には、このお菓子“書写千年杉”はトム・クルーズが 50個買いました」。というようなことが書かれてあった。さすがトム。数もすごいね。

 東京に戻り、ひさびさに“ラストサムライ”を見直したら、勝元(渡辺謙)が読経するシーンは、私が座禅を組んだ場所だった。そして、確かに話を聞かせてくれたお坊さんも映ってた。一瞬だったけどね。
 映画の中の圓教寺の巨大な阿弥陀如来像は、なぜかちょっと作り物ぽくみえた。やはり、直に見たほうがありがたい感じがした。

068
『豊橋ハリストス正教会』

067
『大好き!着物』

066
『仏像に変身した私』

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