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第四回
小さな森の小さな宴

あらゆる隅という隅に光をあててしまった人間が得たものと失ったもの。得たものは快適で安全な暮らし、あるいは人間だけが住む事のできる世界。失ったものは……何だろうか。

小さな森のそばに住む僕は、時折夜の森が見たくて散歩をする。
まるで独裁者のような灯りが煌々と森の内側を照らしていることがほとんどだが、誰がそうするのか知らないけれど、その灯りがまったく消えていることがあり、そんな時は「森は闇の貯蔵庫」などとワクワクした思いになる。

灯りで照らされた世界をみていると、「見えないものは何もない!。わからないことは何もない!!」と叫ぶSF映画の世界にでてくる狂った科学者を頭の中に想い描く。すると「でも自分のこころは見えないんでしょ。」と、どこからか現れた小さな女の子が科学者を見上げてニコニコした顔でいう。

この世界には見えないものやわからないことがたくさんあり、それらに光をあてて見えるようにしたことは、人間の素晴しさの一つだと思える。その事がもたらしてくれた恩恵の大きさ・偉大さは測りしれないものがあると素直に思える。しかし、人間が作り出した光によって、見えないものは何もなく、わからないことが何もない世界が来るとは思えない。いや、来てほしくない。

失ったものはなんだろうか。

過日、横町のみんなが集う小さな宴を拙家で催した。
美味しい料理と酒に舌鼓を打ちながら、時間は夢のように過ぎ、光が闇にかわる頃になっても、扇を投げる遊びに興じた。

僕のこころの中にはみんなとこうして過ごせる喜びとともに、闇よりも暗い森のシルエットがあった。 風に動く黒のかたまり。鳥を抱き眠る闇。
やすらぎだろうか。

おまえは一体誰なんだろう?

宴が終わり横町のみんなが帰った後の部屋はシンとして、風に動く森の音が聞こえた。

わからないものをわからないものとして、
拒絶するのではなく、また解明するのでもない
ただここにこうして一緒に在る事を思えるそんな意識。

小さな女の子は「ほら」と指差す、その向こうには闇の中で喜ぶ、
かつては僕達とともにあったものたちの宴が始まっている。
女の子はうれしそうに駆け出してゆく、
僕の手をしっかりと掴んで。

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