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第二回
ラスベガスの土

茶柱横町がオープンして1カ月、いろいろな方からご意見.ご感想をいただきました。ありがとうございます。
また、茶柱横町に参加し、多忙な時間の中、原稿制作をしてくださった皆様にも感謝です。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

「暑い!」
 片道2車線の道路と高架鉄道とが交差する地点にできた土がむき出しの空き地に立って、僕はラスベガスの空を見上げながら額に流れる汗を手の甲でぬぐった。
 傍らには契爺さんがいて、タクシーに乗る事のできるホテルの場所を地図で確かめていた。
「すぐ、そこですね」
 指差す方角にこんもりとした木立があり、その向こう側にホテルらしい建物がのぞいていた。

『○○先生とともにラスベガスでギャンブルをする』という、インターネットコンテンツの特別企画のために契爺さんと僕は、コンテンツ制作会社の社長、○○先生とともにラスベガスにやってきたのだ。
 ラスベガスでのギャンブル三昧の日々(ちなみに僕はギャンブルは全く駄目なので、ちょっとスロットマシンと戯れただけで後は仕事と周辺ウォッチ)は、今回の話とは別なので置いておき、仕事の間にできたちょっとした時間を利用して契爺さんが目星をつけた場所に僕と二人で行く事になった。

タクシーに乗ろうと捜しているとちょうどいい具合に若い兄さんドライバーが車から降りて来て、「どこまで?荷物こっちに」などと契爺さんとやりとりを始める。(契爺さんは英語ペラペラ)「いい感じ」と思っているとその兄さん、もう一組来た日本人カップルにも声をかけて、どうやら行く先の似ている客を載せて一回の運転で儲けようという腹のようだ。
 「まあええか」と契爺さんが僕に目配せすると、やおら車は急発進で出発と相成った。
 後から来たカップルの方が遠い場所で、僕らの行く先はあっという間に到着。ところが降りる段になって、値段をふっかけてきた模様で、契爺さんとしばらく激しい英語のやりとりがしばし続く。結局向こうの言い値で支払った契爺さんは、「ばかやろう」と言いながらも「まあ、ようあること」という感じで、タクシーを降りた。(その間、終始こまった顔をしていたカップル、あれからどうなったことやら……)

さて、目的らしき建物について入口に入りかけて、どうやら違う場所に連れてこられたか、もともとその場所の所在を勘違いしてたのかはわからないが、いずれにしても目的の場所ではなかったことに気付く。建物の前は4-5車線ぐらいの大きな車道で、近くにバスや鉄道の駅などありそうになく、それでも契爺さんと僕は「トホホ」という感じもなく、車の進行方向と逆にぼちぼちと歩き始めた。
 そしてこの文章の最初に続くわけだ。
 たぶん仕事でもないかぎり一生行くことのなかったラスベガスの思い出の中で、契爺さんと経験したこの出来事が一番印象に残り、今もあのざらざらしたラスベガスのむき出しの土の匂いを嗅ぐ事ができそうだ。

囲碁と麻雀に目がない契爺さんは自身を「好々爺」といって笑うが、その目は青年のようにギラリと光ったりするのであります。

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