夢見る大人のWEB MAGAZINE
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第一回
日本国 蜘蛛の巣の町 池之端 八番八号 茶柱横町

このサイトを一言で語るなら、「谷口純平が編集をつとめる個人雑誌」ということになるでしょうか。 自分の人生の中で出会い、時間を共有する事のできた人々と、場所や時間の制約のないところで「何か一緒にでけへんかなあ」と思案した結果、ウェブマガジンとしてのこのサイトにたどりつきました。
人生の中ではそれぞれの方が僕とは別の時間軸にいて、お会いする事もままならぬのが実際のところですが、こうしてサイトに集う事で、一つの共有できる場所と時間が誕生したのではないかと感じています。
個性豊かなそれぞれの人々の作品をお楽しみいただければ幸いです。
月1-2回の更新でお届けいたします。

(と、あらたまったご挨拶はそのくらいにさせていただくとして)
蝉時雨の耳に心地よい葉月、茶柱横町は表通りの喧噪から離れ、近くの森から吹く涼なる風に、なにやらウトウトとしてしまいそうな時間が流れております。
と、そこへ静寂を破る轟音を響きわたらせ、一台のバイクがやってまいりました。 バイクの上の御仁は、コピーライダー森日出男さん。
エンジンを切ってヘルメットを脱ぐなり、
「やあ、谷口さん、今日も暑いなあ。」 と、やおらとりだした手ぬぐいで顔の汗を拭きはじめました。 やさしげなまるっこい顔につけた黒ふちのメガネをはずして、ごしごしと拭いております。
「大阪の方が二度ほど暑いと天気予報でゆうてましたが、ほんまですか?」
と、僕。
(電脳世界の出来事ゆえ、場所や時間の制約はございません、念のため)
「二度なんて、あまっちょろいもんとちゃうなあ、大阪の暑さは。それに比べたらここは天国やなあ。」

デザイナーとして、机上で美しいものを作り上げることがすべてであった僕に、行動して行動する事で生まれるものが(机上だけでは生まれないものが)ある事を、森さんから教えていただいたような気がします。 パンパンに資料で膨らんだ鞄を持って、必要とあらば世界のはてにまで出かけて行く森さんの姿は、僕の人生の大切な映像です。

森さん「企画書送ったから、意見聞かしてくれる?」
谷口「なんですの、この企画書。」
森さん「今度そんな雑誌作ろうおもてなあ、意見聞かして。」
谷口「ちょっと見てメールおくりますわ。」

アルチザンに3年在籍させていただいた後、独立して上京してイラストを描いたりデザインの仕事を続けている僕は今でも電話をかけたり、数年に一度お会いしたりと、森さんとの交流を続けさせてもらっています。上記のやりとりはごく最近のもので、こういった森さんとのお付き合いが、僕には心地よく、時々森さんの声を聞く事が、僕には必要な事のようです。

「ほな、今日は帰るわ」
茶柱横町の自分の部屋の前で、ヘルメットをかぶり重たそうなバックを背負ってバイクにまたがった森さんはそう言うとエンジンをかけ轟音を轟かして、帰ってゆくのでありました。

茶柱横町 谷口純平

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