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その19 虹の向こう 山の彼方 飛ぶ鳥

 最近、お気に入りのホテルがあります。盲ろうの障がいを持つ友人の介助者として、そこのサウナに一緒に通うようになり、ついでにホテルのファンになりました。サウナも爽快ですが、私のお気に入りは、なんと言ってもロビーです。

 ガラス窓越しに、池と木立、芝生にベンチ、そして武蔵野の雑木林が拡がって見えます。ロビーには人の気配もなく、静まりかえっています。私は、大きなソファに腰を下ろして、送迎バスが到着するまでのひとときを、林を眺めて過ごします。黄昏時にそうしてゆったりしていると、身体の心地よさも手伝って、夢うつつのひとときになります。

 夢うつつの一こま。
 その1。雑木林の奥の方に小屋があって、若い家族が住んでいる様子です。肩寄せ合って、健気に暮らしている家族です。小さな男の子が走り出て、こちらにちょっと手を振ります。傍らに若い父親が立っています。二人は、手に手を取って立っています。

 その2。雑木林の空に、虹が架かっています。その虹のアーチを、風呂敷包みが二つ、渡っていきます。大きい包みと小さい包み。シャボン玉のように、表面にくるりくるりと虹を回しながら、高見へ、そしてその向こう側へ、包みは連れ立って降りていくようです。

 その3。雑木林のうしろには、アルプスのような山が、聳えて連なっています。山向こうから、つがいの鳥がやって来ます。大きく羽ばたく翼に長い足、そして首もひょっこり前伸ばしにして、もうすぐ、到着の姿勢です。意気揚々と地上を見渡して、着陸地点を見定めているようです。

 若い家族の住む小屋は、聳える山の向こう側にあるようでした。虹を渡る二つの包みは、その山を越えて、あちらの端へ行くようでした。二羽の鳥たちのねぐらも、その山のまたその向こうに、あるようでした。

 私はうっすら目を開き、ため息をついて、つぶやきます。随分遠くにあるんだなぁ。おいそれと、訪ねていくわけには行かないなぁ。それじゃぁ、ここで寝てるとしよう。彼らの来し方行く末は、ガラス窓越しにちらりと眺め、まどろみながら、過ごすとしよう。ここは、雨は降らない風も吹かない、なんて上等でしょう。

 やがて送迎バスの時間が来ると、私はすっくと立ち上がり、うしろのドアへまっすぐ進み、現実の暮らしに戻ります。アサーティブネスあり、フォーカシングあり、街へ、家へ、約束へ。

 そんな現実に、彼らからの便りが届きます。メールで、手紙で、荷物と共に。封を開けて、そこにある現実の、ちっとも遠くない係わりを味わいます。良い知らせも辛いひと言も。時々「わっかんないなぁ」と腹を立てつつ、「まぁ続きはまた、あのロビーで眺めよう」と望みを託し、一日をそっと閉じて眠ります。

「みよみよのブログ」を作りました。
ご訪問下さい。
http://eyn.blog93.fc2.com/




「12の権利」*********************************************************
<1>私には、日常的な役割から自立した一人の人間として、自分で物事の優先順位を決める権利がある
<2>私には、賢くて能力のある対等な人間として、敬意を持って扱われる権利がある
<3>私には、自分の感情を言葉で表す権利がある
<4>私には、自分の意見と価値観を延べる権利がある
<5>私には、「イエス」、「ノー」を自分自身で決めていう権利がある
<6>私には、間違う権利がある
<7>私には、考えを変える権利がある
<8>私には、「わかりません」という権利がある
<9>私には、欲しいものを欲しいと言い、したいことをしたいという権利がある
<10>私には、人の悩みの種を自分の責任にしなくてよい権利がある
<11>私には、周囲の人から認められることを当てにしないで、人と接する権利が=∴ある
<12>私には、アサーティブでない自分を選択する権利がある

「こころのちからメッセージ」**********************************************
<1>私は、私が何をするか、どれから始めるかを自分で選んで決めていい
<2>私は、自分の良いところや能力を、ちゃんと認めてもらっていい
<3>私は、自分に素直になって、人に感情を伝えていい
<4>私は、自分の意見や価値観を、正直a湟に相手に伝えていい
<5>私は、他の人の気持ちにではなく、e猯自分のきもちにそって、「はい」、「いいえ」を言っていい
<6>私は、まちがえてもいい
<7>私は、きもちや考えが変わったら、無理にがまんせずに、決めたことを変えていい
<8>私は、わからないことがあったら、教えてもらっていい
<9>私は、自分の一番の希望を、いつでも相手に伝えていい
<10>私は、人の悩みを、自分のことのように背負わなくていい
<11>私は、周りの評価を気にせずに、自分の考えややり方を伝えていい
<12>私は、私のままでいい

その19
虹の向こう 山の彼方 飛ぶ鳥

その18
降る花

その17
春が来た 春が来た

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