18　ちょっと素敵

ね、ちょっと素敵だと思いませんか

夜明けの空を見てふとあなたのことを思い出したり
雪降る窓の外の風景をあなたに見せたくてカメラを取り出したり
小さな歓声がこぼれるほど可愛いケーキに出会ったとき、
真っ先にあなたの顔を浮かべたり
スーパーの特売で同じもののおまけがついた時
なんの迷いもなくあなたの分だと思ったり
コーヒー豆を挽きながらあなたの声が聞きたくて電話をかけてみたり
感動した映画をあなたにも観てほしくて
映画館を出てすぐに携帯の電源をつけたり
・・・
心がちょっとだけスキップをする時
あなたのことを思う
ラジオから聞こえる歌声に胸の奥が重くなる時
車の窓を打つ雨の音がいつもより大きく感じる時
眠れない夜、ふと見上げた空に小さな星を見つけた時
誰の足跡もない雪の上を歩き始めた時
頬をかすめる冷たい風にどこか遠い街を思い出した時
・・・
そういう時にあなたのことを思う
ちょっと素敵だと思いませんか

きっと花咲く春には真っ先にあなたのことを思うでしょう
春一番の花びらはあなたへの贈り物になるでしょう

私の心がちょっとだけスキップをする時
あなたの唇がちょっとだけ上がる

そういう私たちって素敵だと思いませんか

ふと見た時計の数字が綺麗に並んだ時と同じく
私たちの心が向かい合っている今

空は薄いピンク色
真っ白い雪が春の花びらのようにひらひらと舞い落ちる

見上げれば目の中に春に似た冬が入る

広がる微笑みの向こうにあなたがいる
ちょっと素敵な午後です