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その7 メイクダウン

その日、私は携帯電話を見つめながら怒りに震えていた。
液晶画面には「ちょっとは化粧した方がいいよ(笑)」の文字。
弟の誕生日に送った“おめでとうメール”の返事がこれだったのだ。

先日撮った私の写真を見ての感想らしいのだが
きちんと化粧はしていたはず。しかも丁寧に。

単に弟は派手な化粧の女が好みなのかもしれない…
だとすると私にそれを押し付けるとは言語道断!
弟のくせに(byジャイアン)



大人気なくも母に電話で告げ口をし、憂さ晴らしを目論む。
しかしその計画は脆くも崩れ去る。
「そうねえ、もうちょっと化粧した方がいいんじゃない?」
「わざと地味にしなくてもいいのよ?」
「以前はまだちゃんとしてたのにねえ」
繰り出される言葉に憂さは晴れるどころか瀕死状態。


ここ最近私は佐伯チズの教えに従い
オイルクレンジングを捨て、朝晩のローションパックも欠かさず
ちょっと奮発した美容液を念を込めながら塗り込んでいる。
そのあいだに田中宥久子の顔筋マッサージも取り入れ
「なんだか最近化粧ノリもいいし顔がワントーン明るくなったみたいです」
という状態だったので(ミーハーだとは言われても)
なぜこんな言われ様なのか理解できなかった。

自暴自棄になって次に会う時はドラァグクイーンのような
メイクにしてやろうかと思ったが、空しいので止めた。



流行りの『甲殻類系美女メイク』にでもすればいいのだろうか
でも手持ちの服と現在の髪型にどうにもそぐわない。
いや、それ以前に顔の造作が決定的に違う。

相談すべき同年代の女友達には
365日のなかで片手で数えられるほどしか会っておらず
美容系雑誌も世間勉強にと、しばしば読むが、
どうにも仮想現実のようで実感がわかない。



「以前はまだちゃんとしてた」という母の証言を頼りに
今と昔で何を変えたのかを検証してみる。
すると、程なく答えは見つかった。
『アイライン』
以前はあっさりした目元をカバーすべく
黒いアイラインを太く引いていたのだが
最近はカーボンの色素沈着が気になり使っていなかった。

目元さえ濃くすれば他をおろそかにしても『化粧した風』になる。
得てして人の印象なんてそんなものかも知れない。

こんなことで私の日々の小さな努力はひっくり返されるのだから恐ろしい。
世の中では『丁寧に化粧をする』ことよりも
『しっかり化粧している風にする』事の方が評価される時もあるのだ。

ふと思った、もしかして生き方上手な人は
この『アイライン的なもの』使いが上手いのかも知れない。

良いかどうかは別として。

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