06 チベット 〜マニ車〜
チベットには、「マニ車」と呼ばれるものがある。 マニ車の中には、チベット仏教の経典が入っていて、 1回廻せば1回お経を唱えたことになる便利グッズだ。 赤ちゃんのガラガラくらいの大きさの携帯用マニ車から、 大人の力でやっと廻せるくらいの大きなものまである。 これは水力で自然に廻るマニ車。 チベットでは、みんな廻っている。 いつから廻し始めたかもわからないマニ車を廻しながら、 自分も寺院や聖なるものの周りを廻る。 そして、いつ廻すのを辞めるべきかも意識せず廻し廻り続ける。 その「回転」を見ていると、 わたしたちの「生」を感じる。 始まりも終わりもわからない。 巡りめぐるわたしたちの「生」、 そして、「生」を持ったことばやもの、ひとつひとつの行い。 そのすべてが転生しあい、 マニ車の軌道のようにつながっている。 マニ車は1回廻すと1回お経を唱えたことになる。 わたしたちの「生」は、何につながっているんだろう。
11 初夏 -北京-
10 記 憶
09 境界線 -北京編-