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地上最後の楽園は、今日も微笑んでくれるかな
<5>バリ島のキャッチセールスにキャッチされてみました。



DFSクタギャラリアから、隣のマタハリデパートへ向かう途中での出来事。
 日本語で買い物して店から出ると、すこし気がゆるんだ自分がわかる。ハワイやグアムもそうなんだけど、まわりが日本人ばかりで隔離された空間にいるため、ゆるめても大丈夫かなと錯角しているのだとおもう。これは危険だ。

 気をゆるめたまま歩いていると、ショッピングモール入口でカードを渡された。200ドルの商品券か、リゾート宿泊券が必ず当たるというカードだが、どちらが当たっているかは、そのリゾートへ行かないとわからないという。その手法は、まるでワイキキのDFSギャラリアで配る、由緒正しき「H・バケーション・クラブ」に似ていた。「H・バケーション・クラブ」は、「H・ホテルグループ」のバケーション・オーナーシップ(タイムシェア)販売会社。ワイキキで参加したことがあり、かなり検討したが、今はペンデイング中の案件。それに似た雰囲気のカウンターだったこと、最初にキャッチしてきたお兄さんが普通のバリ人に見えたことで、勝手にHやMのバケーションクラブと同じようなものかと思い込んでしまった。バリ島最終日の行動予定が全く立っていなかったことも後押しした。時間つぶしにいいかと言われるままに、カードに書かれている電話番号に電話をかけ、行く約束をした。
 そして、当日。ホテルまで迎えの車がやってきた。ドライバーと車は、外部の契約ドライバーで、車もボロい。まちがってもリゾートホテルが配車するような車ではなかったが、バリなんかこんなもんかと、ここでも勝手に解釈して乗り込んだ。行き先は、ブノア。ヌサドゥアの南端から車で15分程度にある。
 到着したところは、それなりの規模のリゾートだったが、なんか異様な雰囲気がした。稼働していないような空気感が漂っていた。リゾートならではのリラックスした「気」を感じなかった。
 案内されるままにロビーのソファで待つこと20分。予約して時間を決めているのに、これだけ待たすとは、なんかおかしい。

 そしてやって来た女性は日本人。20分待たせた詫びなど一言もなしに、いきなり握手をもとめられた。正直気持ち悪い。悪寒が走るのと同時に、独特のにおいを感じた。日本でもよくある、キャッチセールスのにおいだ。
 日本人女性は、型どおりのセールストークを始めた。抽選は、リゾートの話を聞いたあとでという。

 この時点で帰ることも出来たと思う。自力で近くのリゾートまで行きタクシーに乗ればいい。
 しかし、このセールスには勝てると感じた。妻、子供もいたのであまりリスクを伴う行動には出たくない。しかし子供にキャッチセールス実情を生で見せられる数少ないチャンスだと思った。このまま話を聞いてやろう。

 女は、あれこれ質問してくる。
 そして質問の答えと、自分のトークを画用紙にマジックで大きく、こちらにみえるように書いていく。
 質問は2者1択。どちらを選んでも、最終的には時分が用意した(会社が用意した)答えにたどり着くようになっている。
「1年にどのくらい旅行費用を使う?」からはじまり、「どんな国へいきますか」「ホテルだとキッチンもないし狭いし不便ですよね」でつないで最後は「こんなすばらしいリゾートの会員権が200万円で手に入るなんてすばらしいとおもいませんか?」に着地する様な質問集なのだが、そんな手にはまってたまるか!誘導されないように、質問の矛盾点を突っついて返答していく。
 キャッチセールスのトークはすべてが強引な展開なので、いたるところに矛盾点が露出してる。そこを突けば、女の用意した答えを導きだせず、混乱していく。彼女らはそういう疑問も持たずに教えられたとおりにしゃべるだけだ。想定外には弱い。
 セールススキルが低いのか、徹底した悪人ではないのか「本当は、こういう位置付けにしたかったけど、あなたのケースだとそうならない」と、これまで書いていた答えのチャート図に大きな×を書いて、トークをあきらめた。次に会社のシステムについて話を始めた。これがまた、怪しすぎる内容。簡単にまとめると、
・ 香港にある世界的有名なホテルと同じ名前のホテルグループ名を名乗る。(それにしては貧相すぎる)
・ このたび、バリ島で、「建築途中で倒産したリゾート」を買い取った。
・しかし、マスコミや出版社のいじめにあい、ガイドブックや地図には名前を載せてもらえない。(ここが最高にうそくさい)
・ 200万円でこのリゾート他、世界中の何百箇所もの高級リゾートが使える。
・ 今は、200万円だが人気なので、近いうちに値上がりするらしい。今ならお得だから、先に買いっておきましょう。
というもの。

 その場を離れれば、「寄せ集めでつくりあげた話を信じて買う人が今どきいるのか」と思うが、現場では違う空気が流れている。大げさなトークと取って付けたビジュアルカットをフラッシュバックのようにはさみこんで、なんとか自分の世界に引きずりこもうと必死なのだ。
 安い会員制リゾート施設は予約が入りにくいというのが定説。下手すると会員よりビジターのほうが予約しやすいなんていういのもざらにある。本当に高級なところは、使用する週を固定で買い、使わないときは他の週と交換するなどわかりやすい対応を売りとしているが、勧められているものはそんなシステムの説明など一切ない。怪しいリゾート会員権なんだから仕方がないのだが。

 せっかくなので「ハワイだとどんなコンドミニアムが使える?」と、聞いてみる。 {あっ、食いついてきた}とばかり、意気揚々と用意した提携リゾートリストを見せた。
 リストに記載さ入れていたのは「WB」や「IP」など、会員でなくても泊まれるところで、しかもワイキキの中ではチープなコンドとして有名なところ。その現実を説明してあげると、軽く流され「実際の部屋をみにいきましょう」と、場の仕切直しに入った。

 通された部屋は普通のホテルより広いが、高級感は一切ない。
「どうです。いまお泊まりの部屋よりひろいんじゃないですか」と優位性をアピールしたつもりだったろうが、残念ながらそのとき宿泊していた部屋は、スイートルーム。ホテルの上級会員なので、一般料金にちょっとだけ追加料金をはらうだけで、アップグレードできるのです。

 女はホテルの上級会員システムを知らなかったらしく、この時点で、ほぼ玉砕。売り込みが無理とわかれば、次のカモを狙わなければと、さっさと引き返そうとする。ロビーに戻るまで、「いいでしょう。こんな素敵ななリゾートが今なら安いんですよ」と壊れたテープレコーダーのようにしゃべり、ロビーに着くなり、挨拶もなしにどこかへ消えていった。

 毎度お馴染み,後味の悪い連中。バリ島にもあるんですねぇ。みなさん、気を付けましょう。

追伸
 当然ながら200ドルの商品券は、使い物にならないいいかげんなものでした。
 帰りは無料枠いっぱいのレギャンまで送ってもらい、結局ヌサドゥアからレギャンまでのタクシー代が無料のツアー?でした。
 その後気が付いたのですが、最初にくじをもらったショッピングモールの近くに、正々堂々とオフィスをかまえているではありませんか。バリのショッピングモールを歩くときは用心してくださいね。

 ちなみに、ハワイの由緒正しき「H・バケーション・クラブ」で配る200$券は正規の品で、Hホテル内で、有効に利用できます。混同されませんように。

<6>
1日4000円以下!
激安車チャーター車の実情。

<5>
バリ島のキャッチセールスに
キャッチされてみました。

<4>
日本人を知り尽くした、
日本語ツアーの醍醐味。

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