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第一回 アジアの小さな片隅で
初めての国。乗り継いで地方空港へ。
プロペラ機のタラップを降り、滑走路から空港施設まで歩く。
自分と、あとわずかな乗客の荷物を載せたカートが、
「ダッダッダッダッ」と、
ディーゼルエンジンの大きな音をたてながら追い越していく。
ツーリストインフォメーションもガイドブックもない空港。
それでも客引きだけは出口からこちらの様子を覗いている。
乗り物の相場もわからない初めての土地で
いきなり空港待機しているタクシーやトライシクルに乗れば
目的地に行くことは出来るが、相場の数十倍の料金は覚悟した方がいい。
そんな時は、空港前の幹線道路沿いに必ずある
小さなよろず屋に入り、
あまり冷えていないコーラを飲むことにしている。
飲みながら店のおばちゃんに、
「○○へ行くには、どのトライシクルに乗ればいいか」と、
聞いてみる。現地語ができなければ、英語でいい。
英語が通じなければ、行き先を言いながら、道路のトライシクルを指さす。
一見、怖そうなおばちゃんは、親切に教えてくれる。
時にはわざわざトライシクルをとめて
ドライバーに行き先まで告げて
「私の友達なんだからへんなことするんじゃないよ」と言って、乗せてくれる。
コーラ1本でコミュニケーション。
おばちゃんと世間話しながら、地元の情報もついでに教わる。
お互い片言の英語や現地語でわかりあえる。
「国はどこだい?」
「そう」
「安くて清潔な宿は港の近くだよ」
なんて。
都会ではすこぶる評判が悪い国でも、
田舎へいけば、たいてい親切なひとが多い。
そうやって、楽園探検隊の第一日目が始まる。 |
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