53　昔話　＜8＞

自分の昔話をする人間にはなりたくないと、10代や20代の時は思っていたものだ。
しかし、考えてみるまでもなく、現実に生きて来た時間の事を喋るなら、それはいつだって昔話なのだ。

＜遊び場　その４＞

最近のニュースに
川に放置された廃船を
景観を損ねるから
一刻も早く撤去してほしい
と近隣住民が訴えている
というものがあった
わずか半世紀ほどで
この国の見た目は
（見た目に関する意識は）
変わろうとしているのだなと
思わずにはいられない

町のいたるところにある空き地
そしてスクラップになった
廃材や廃車置き場
それらが町の隠れた場所にあるのではなく
町角や幹線道路沿いに
あったのを思い出す
（景観を損ねるというよりも
それらが景観の一部であった）

危険防止の柵や
入ってはいけないなどの看板はなく
いつでも入りたいと思えば入れたその場所も
危険と隣り合わせではあったが
それゆえに楽しい遊び場であった

マンガの場面のようだが
廃車の山の上に一台の廃車が乗っていて
そこに誰が置いていったのか
エro本が散乱していた
それをまた僕らの誰かが見つけてきて
「おい、今日いくで」の合図とともにそこに集合
初めてのエro本タイムをすごした
まっ、子供すぎたのか
すぐに飽きて違う遊び場に出かけたが
しかし大人の入り口（？）が
そんなところにあったことを
今でも鮮明に覚えている

そうそう
その場所では車や機械の
いろいろな部品が散乱していて
それを集めるのも楽しかった


さて
こんなものかな遊び場は？

＜じゅんぺい＞

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