38 夢の家 家の夢 <6>
<確かに一緒に>
幼い頃の
家の記憶の中に
そういえば
父と母の姿がない
と気づいたのは
もうよほど年を重ねた後のこと
家の外でなら
例えば
父とのキャッチボールや
母との買い物や
それほど多くはないが
記憶に映像が残っている
アルバムのページをめくっても
そこに残された光景は
旅行やらイベントやらの
家の外での非日常的な
光景ばかり
社宅という環境のせいか
僕と妹二人をかかえた所帯の
経済を支えるための
夫婦共働きのせいか
確かに一緒にご飯を食べたであろうに
確かに一緒に眠ったであろうに
確かに一緒に○○したであろうに
そういった記憶はどこに
行ってしまったのだろうか
ただ単に忘れているだけなのだろうか
いつか
そんな記憶を辿る旅に出て
父と母と同じ食卓にいる
自分を発見してみたい
*
つづく
<じゅんぺい>
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