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「そういう日の傾向と対策」の巻(3)

フルーツポンチを求めて

 先日も車内で50代半ば〜60デコボコ、といった感じの男性が同行の40がらみくらいの女性におもむろにこう聞いた。

「あのさぁ、渋谷でフルーツポンチのおいしいとこってどこ?」

フルーツポンチ! その単語は久しぶりに聞いた。思わず

あれは関東大震災の年だったっけか
千疋屋の社長が英語の『パンチ』と『ポンチ絵』の『ポンチ』を
融合させて作った造語なんだよな
「メリーポピンズ」が呑んでいるナイト・キャップを
子供から「それなぁに?」と聞かれて
「ラム・パンチ!」(「ラ」を巻き舌で)って
言ったくらいだから外国だとお酒を入れるけど
日本ではあまり入れないんだ……

なんてことを考えてしまって止まらなくなった。続いた

女1「え〜? フルーツポンチ。なつかしー」
女2「どこで食べてたんですかあ?」
男「ほら、スパゲティ食べたあと、なんかこう甘いもの食べたいじゃない。
  昔は喫茶店なんかに普通にあったよ」
女2「渋谷でフルーツポンチとか、知らないです−」

という会話にも反応してしまい、ついつい

「渋谷なら『フルーツパーラー西村』がありますよ」

と声をかけそうになった。かけなかったけど。
パーラー西村。もうないのかな。まだあると思うけど。

 そんなわけで、この日はその後も別の電車内で語り合う中年男性会社員の「発注先の悪口」なども堪能して、パスタを食べたあとに甘いものが食べたくなるかどうかはともかく(僕はあまりならない。甘いリモンチェッロなら時々呑みたくなるけど)この日は「オッサンの車内会話が楽しい傾向」の一日なのであった。

 こういう「出会った状況」の傾向を感じるのはただ「そんな気がするだけ」と言ってしまうこともできるのだが、これはたしかにあってよく経験するように思えるのが「貰い物」である。去年の終わりから年明けにかけて、特にその傾向が強かったのが「お酒」だった。
<つづく>

「ゆれる防衛本能」
(5)
見ざる聞かざる嗅がざる

「ゆれる防衛本能」
(4)
「無音」の恐怖

「ゆれる防衛本能」
(3)
音は知らせる

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