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「そういう日の傾向と対策」の巻(2)

観察してます

 そういうわけでその日の朝、最初に乗った電車の車内を見回して「オッサンばっかり」の日はなんとなくゲンナリするし、「可愛い女の子ばかり」の時は何となく朝から気分がいい。

 まぁ可愛い女の子と車内で一緒になったからと言って、べつに彼女たちが僕と楽しく会話をしてくれるわけではないし、手をつないでくれるわけでもないのはよくわかっている。けれどなんだか前日の疲れを引きずっているのか、尊大で不遜なオーラを放ちながら一心にスマホの画面をのぞいているオッサンに囲まれて一日を始めるよりは、可愛い女の子と一緒になった方が少なくともずっと心持ちがいい。しかもそれが「一日の傾向の始まり」を思わせる、と考えればなおさらだ。

 というわけで「オッサン」の日はできるだけ身を縮めて手元の本に集中するようにするし、女の子達に囲まれたときは「動揺と好奇心」を隠しながらそっと観察したり近頃の服飾の人気傾向なんかを勉強したりする。

 この「女の子の服装」の最近の傾向を知っておくのは絵を描くことを職業とする人間にはあんがい大切なことで、ちょっと間違えると「今どきこんな服着た女の子いないよ」とか、「オバさんクサイ」なんて言われて「描き直し」になってしまう。

 しかるに僕が女の子に視線を投げかけるのは、べつに劣情をもよおしたり下心があるわけではなく、仕事のための観察なのである。「ならば堂々と見るがよかろう」という向きもあるでしょうが、どうも平然とそうできないのは「女性専用車両」を作ったりせねばならぬ昨今の風潮の別の側面からの結果であります。いや、言い訳に聞こえるかもしれませんがホントの話。

 クドイね。あんまりクドク言うとホントは下心があるんじゃないかと思われるのでこれくらいにしておく。いやホント(クドイ)。とはいいつつ「オッサン」は「オッサン」で観察していると楽しいこともあるというのが次のお話。
<つづく>

「ゆれる防衛本能」
(5)
見ざる聞かざる嗅がざる

「ゆれる防衛本能」
(4)
「無音」の恐怖

「ゆれる防衛本能」
(3)
音は知らせる

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