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ワタクシがここで書き連ねる「東京俺好」。「トウキョウオレスキー」と、発音しますが、東京の中のワタクシの
「好き」な所、それは店であったり場所であったりするのですが、そんな好きな場所を「適当」にご紹介する、という文章です。 基本が「適当」なので詳しい場所とか書きません。気になったら皆さんも「適当」に散策して、出向いたりしていただければいいかな、と思っているのです。東京に生まれて50年少々、曾爺の代から江戸東京と永く住んできたこの街の「俺の」スキなところを勝手適当に書き連ねる「東京俺好」(トウキョウオレスキー)。よろしければ皆さまもテキトーに楽しんでいただければ、と思います。


その17
ちいさくてもダイジョウブ


 ワタクシが幼稚園に通っていたころ、まあ、昭和30年代の後半ではありますが、その頃はまだテレビもそれほど普及してたわけでなく、娯楽といえば幼稚園で読んでもらったり眺めたりする絵本が大きなウエイトを占めていたような気がします。

 いや、気がするんじゃなくて、とても楽しみだったわけで、とりわけバージニア・リー・バートンさんの絵本、これは僕が2番目に覚えたガイコクジンの名前だと記憶しているのですが、(ちなみに1番目はアベベ・ビキラ)このバートンさんの絵本を僕はだいすきだったのです。
 なにしろ僕が5歳の時に買ってもらった初めての絵本が、このバージニア・リー・バートンさんの「せいめいのれきし」という絵本だったりするわけですが、これは今でも持っています49年間(笑)。

 で、「せいめいのれきし」と並んでもうひとつ、忘れられないのが「ちいさなおうち」という小さな絵本。
 これは野原に立てた小さな一軒家が、時代を経て行くうちに大都市のビルに囲まれ、陽もあたらなくなってひっそりといつまでも建ち続け・・・・という、ちょっと怖くて悲しくて、でも最後はとてもハッピーになれるステキな絵本なのですが、さて、前置きが長くてすみません。

 今回のオレスキーは、その「ちいさなおうち」がリアルに存在しているかのような、ビルと大きな道路に囲まれたちいさな、本当にちいさなうなぎ屋さんでございます。

 交通量の多い国道に面した交差点にあるその現場に立つとあぜんとするような、まるで縮尺を間違えたジオラマという感じで佇むうなぎ屋さんは、廻りがすっかり21世紀なのにそこだけ昭和のまま、しかも昭和時代においても小さかったであろうコンパクトさを持って、いまでもしっかりとケムをモクモクさせながらうなぎや焼き鳥を焼いているんだからたいしたものです、ちと感動。
 店の幅は1間少々あるにせよ、奥行きは1間もなく、焼くマシーンやさまざまな什器などでギチギチの店の中に2人も入ればもう満タン状態で、閉所恐怖症でなくても息苦しく感じたりする小ささというか狭さ。

 ネタを明かせば、店の背後にある大きなビルが実は母屋で、ちゃんとした料理屋なのですが、うなぎを焼いたりするのは昭和の初めからあるその小さな「屋台」のような店先でチリチリ焼く、という案配。
 もちろんこれは「うなぎ屋」さんだからこそ。だってねえ、通りに面した店先でうなぎ焼いて、そのケムがふわふわ流れてくるんですぜ。気の弱い人だったらつい店に入っちゃうでしょう、入りますよね。

 ノスタルジックな外見と非効率的な作業だからこそ、多くの人を引きつける大事な要素ということがヨクわかる、両国のちいさなうなぎ屋さんであります。
 いやあ、廻りが大柄だと小さいって本当に目立つんですよ。リリパットうなぎ屋さんグッときます。(お値段はリリパットではなかったけど)

例によって超テキトーな説明
JR総武線の「両国」駅近く
京葉道路沿いに錦糸町方面に歩いて数分
大っきなビルに囲まれた交差点の角に
本当にぽつんと建つ佇まいは
まさに現代の「ちいさなおうち」そのもの。

*
懐中雑誌「ぱなし」のWebサイト。通販でも買えます
http://panassy.p1.bindsite.jp/

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まつばらあつし
matsubara atsushi
1960年 東京都葛飾区生まれ
お絵描き屋さん&文字書きやさん、時々ガッコの先生
映画TV技術協会会員・ナショナルジオグラフィック協会会員
TSUTAYA会員
http://atts60.blogspot.com/



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PEACE & LOVE Together
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