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 ワタクシがここで書き連ねる「東京俺好」。これは「トウキョウオレスキー」と、発音しますが、東京の中のワタクシの「好き」な所、それは店であったり場所であったりするのですが、そんな好きな場所を「適当」にご紹介する、という文章です。基本が「適当」なので詳しい場所やメニューとか書きません。気になったら皆さんも「適当」に散策して、出向いたりしていただければいいかな、と思っているのです。東京に生まれて50年あまり、曾爺の代から江戸東京と永く住んできたこの街の「俺の」スキなところを勝手適当に書き連ねる「東京俺好」(トウキョウオレスキー)。よろしければ皆さまもテキトーに楽しんでいただければ、と思います。


その7 地下に潜む無駄に素敵なアールヌヴォ


 東京メトロ「銀座線」といえば、日本で初の地下鉄道。1927年に浅草〜上野間が開通して85年目。歴史のある地下鉄で、東京生活が長ければ黄色い電車がガタゴト走り、駅に着く前に車内の電気が一瞬消えるという銀座線ならではのイベントを懐かしく思い出すヒトもいるかと思います。

  この銀座線は、2番目に出来た丸ノ内線同様、線路脇に並走する「第3軌条」で集電する方式のため、屋根にパンタグラフが存在せず、ホームも含めて全体が何となく低い感じがして、いかにも地下鉄道の雰囲気を強く感じる路線であります。

  特に我々の世代になると、「東京メトロ」ってスカした言い方がどうも慣れなくて、未だに「営団地下鉄」何て言ったりしちゃうのですが、この「営団」ってのが正式名称「帝都高速度交通営団」っという、何かアラマタ先生の小説っぽい大袈裟な感じで、個人的にはとても気に入っていたのですが、まあ変わっちゃったんだからしょうがありませんね。トーキョーメトロでいいですよ、もう。

  そんなわけで、銀座線というのは何となく昭和の香りが強い、レトロスペクティブな路線なのですが、電車だけでなく駅もなかなか味わい深いものがあります。今回のオレスキーもそんな味わいのある駅「三越前」のおはなし。駅名に「三越」って企業名が入っている、いわゆるタイアップの走りなんでしょうが、この「三越」資本のおかげで「三越前」駅は外の駅と違った、おしゃれポイントがたくさんあります。

  たとえば駅の入口上部にあるステンドグラスや、金ぴかのエスカレータのフレーム、大理石のぶっとい柱が何本も立っているなど、明らかに「金がかかっている」感ぷんぷん。しかも下品にならない程度の押さえた豪華さで、地下鉄ユーザにも「ちょっとイイ所来ちゃった」感を与えてくれる絶妙なつくりが素敵。
 そのなかでも多くの人が目にするけど意識しない、気が付かないけど実はキオクの中に残っている的な、非常にカッコいい装飾が駅コンコースにさりげなく施されているのが今回のオレスキー。

  場所で言えば銀座線の半蔵門線方面改札を出て、柱の並ぶ地下コンコースを歩く時、何気なくちょっと斜め上を見てみると、柱の天井との接合部のアールヌヴォな彫金も見事なのですが、そのちかくの天井の段差をカヴァする彫金飾りが、なんともまあ見事。いぶし銀に鈍く光る緩やかなカーヴを描いた彫金の裏側には、柔らかなあかりが仄かに灯る白熱灯の間接照明。そして実用的な意味はないけれど超カッコいい丸いタマの飾り。これがね、ほとんどホコリもかぶらずヌルく光っているんですよズラ〜っと。

  初めて見た時思わず「おお、スゲエ」ってマジで言っちゃいましたもの。いやホントに凄いんです。こんな殆どの人が気にもしないで通りすぎるコンコースの、目に付きにくい数十メートルの飾りなんだけど、凄く大切にされている様子がもう、ありあり。駅の開業は1932年だから、今からちょうど80年前。80年間大事にされてきたさまざまな装飾も、いくつかは改装工事で見えなくなったり取り外されたりしているようですが、それでも、駅そのものがとても大事にされている感じが「三越前」駅の最大のチャームポイント。全く持ってオレスキーな場所なのです。ここにはね、無駄とも言える優雅な曲線を描いた階段と手すりがある出口もあるのですが、それはまた次の機会に御紹介。東京地下鉄の駅の中でも最も見どころの多い駅のひとつ、と言えるです三越前。

 相変わらず適当な説明。
 三越前駅は、東京メトロ銀座線と半蔵門線がその名前を記してますが、両駅はちょっと離れてしょうど、三越の両端にホームがある、と言う感じ。地下道でJR総武快速線の「新日本橋」駅と繋がっていたり、外に出ちゃえば実は、東海道の起点「日本橋」のすぐ脇に出口があったりと、何かウロウロするのも楽しい場所でありますよ。JRの神田・東京から歩いても10分程度。散歩コースとしてフリクエントしてます。

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懐中雑誌「ぱなし」のWebサイト。通販でも買えます
http://panassy.p1.bindsite.jp/

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まつばらあつし
matsubara atsushi
1960年 東京都葛飾区生まれ
お絵描き屋さん&文字書きやさん、時々ガッコの先生
映画TV技術協会会員・ナショナルジオグラフィック協会会員
TSUTAYA会員
http://atts60.blogspot.com/



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