茶柱横町 茶柱横町入口へ
 
 
プロフィールを見る
前を見る 次を見る

 ワタクシがここで書き連ねる「東京俺好」。「トウキョウオレスキー」と、発音しますが、東京の中のワタクシの「好き」な所、それは店であったり場所であったりするのですが、そんな好きな場所を「適当」にご紹介する、という文章です。基本が「適当」なので詳しい場所やメニューとか書きません。気になったら皆さんも「適当」に散策して、出向いたりしていただければいいかな、と思っているのです。東京に生まれて50年少々、曾爺の代から江戸東京と永く住んできたこの街の「俺の」スキなところを勝手適当に書き連ねる「東京俺好」(トウキョウオレスキー)。よろしければ皆さまもテキトーに楽しんでいただければ、と思います。


その4
茅場町の旧いビルにあるギャラリーと
ナゾの本屋さん



 というわけで、茅場町は河岸沿いの築80年という旧いビルの中にソレはあります。まあ、築80年と言うくらいだから当然エレベータなどという無粋な乗り物はございませんな。優雅なつくりの階段がフロア昇降の手段であります。おおむね旧い建物の階段ってのは、その優雅で繊細なつくりとは裏腹に、階段ごとの段差が急でなおかつ狭いため、利用する我々にかなりハードな動作を強要するものです。すなわちツンデレ・・・、いや、見た目優雅が先なのでデレツン、ですかね。

  さて、そうして優雅な階段を息を切らせて四階まで。その四階の階段脇にあるのが今回ご紹介するひとつ目「レクトヴァーソギャラリー」。
 扉を明けてまず驚くのがその部屋の造り。一切窓が無いほぼ正方形の部屋の全面が真っ白に塗られています。すなわち真っ白な壁だけのスクウェアなギャラリー。最初はその無機質さにドキッとします。

 ココで展示をするアーティストはこのスペースを好きに使っていろいろ観せるわけです。各面の壁にぽつんと絵が掛かっているだけの時もあれば、怪しげな機械が置かれたインスタレーションでは、光が壁や天井、床などに広がって奥行きのある空間を醸し出したりと、部屋そのものが作品の一部として使われている、という感じがするのです。
 かくいうワタクシも1度、ここでグループ展に参加させていただきましたが、その時にこのギャラリーを訪ねてきた友人曰く。「閉所恐怖症だから5分もいられなかった、ゴメン(笑)」だそうです。まるで遊園地のミステリーハウス。

  しかし、この真っ白な部屋というのは色々と想像力をかき立てられて、展示する場所としては中々ステキだと思っているのです。また近いうちに何かやってみたいなと目論んではいるのですが・・・。

  さて、真四角で白いギャラリーの扉を閉めて一階下に降りてみましょう。すると、右手には大正時代のオフィスのようなシンプルな扉に「森岡書店」の文字が。
 ココが本屋さん?
 と、恐る恐る扉を開けると、ちょっとかび臭い古書店独特の香りが漂い、アンティークのテーブルやガラスケースには、オーナーが自ら集めた本が雑然と、しかし行儀よく並んでいます。よくある本棚的なものは見当たりません。

 どちらかといえばアート系、あるいは写真集が多いのですが、時々昭和の頃の雑誌や何処か遠い国の文字で書かれた本などが無秩序に並んで、その並べ方からして古書店というよりは博物館に近い雰囲気。物静かなオーナーは、まるで店の一部のようにひっそりと居て、本を眺める我々の邪魔をせずに、気を使ってくれる様子が何とも嬉しい心使い。そして、店の半分のスペースを使って時々ライヴや朗読などのイヴェントが開かれる。まさに知る人ぞ知る、不思議な本屋さんなのであります。
 こんな不思議なスペースが旧いビルにあり、知っている人たちだけがその重い扉を開いて中に入ってゆく。なにやらアヤシイ感じではありませんか。そんな怪しさが、実はオレスキーだったりするわけで、多くの人に知られるのはなんだかなあ、と思ったりするのでした。
 まあ、自分だけのヒミツにしたい大切なものって、あるですよね。そういう場所を知っているというのが嬉しいお年ごろなんですよ、オトナってのは。

 例によってテキトーな案内。
 東京メトロ日比谷線「茅場町」駅からおおむね2分くらい。
 霊巌橋河岸沿いの旧いビルの三階四階。一階がヨーロッパ風の酒場になってるのでで、みんなソコに引っ掛かるようです。
 旧いビルの四階といえば思い出すのが「ゲゲゲの鬼太郎」の「だるま」のエピソード。「だるま」が潜むのは旧いビルの四階。で、鬼太郎が階段を上がって部屋に入ろうとするが、何度行っても三階の次は五階になってしまい行き過ぎる。で、五階から下がると三階になってしまい、いつまで経っても四階にたどり着けない・・・っておはなし。
 このビルの四階は誰でもたどり着けるはずです。たぶん。

*
懐中雑誌「ぱなし」のWebサイト。通販でも買えます
http://panassy.p1.bindsite.jp/

*

まつばらあつし
matsubara atsushi
1960年 東京都葛飾区生まれ
お絵描き屋さん&文字書きやさん、時々ガッコの先生
映画TV技術協会会員・ナショナルジオグラフィック協会会員
TSUTAYA会員
http://atts60.blogspot.com/



その20
新年のごあいさつ

その19
congratulation、CHYABASHIRA
10years!

その18
PEACE & LOVE Together
2015

バックナンバーINDEX
前を見る 次を見る
| 著作権について | このページのトップへ | 茶柱横町入口へ |