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 ワタクシがここで書き連ねるのは「東京俺好」。発音すると「トウキョウオレスキー」、英語で書くと「Tokyo OleSki」という徒然文です。すなわち東京の中のワタクシの「好き」な所、それは店であったり場所であったりするのですが、そんな好きな場所を「適当」にご紹介する、というモノです。
 もちろん「適当」なので、詳しい場所やメニューとかあまり書きません。気になったら皆さんも「適当」に散策して、出向いたりしていただければいいかな、と思っているのです。東京に生まれ落ちて50年少々、曾爺の代から江戸東京と永く住んできたこの街のスキなところを勝手適当に書き連ねる「東京俺好」(トウキョウオレスキー)。よろしければ皆さまもテキトーに楽しんでいただければ、と思います。


その3
「古本屋は「古い本を売る」のではなく、
「古い本屋さん」の事である」


 さて、「東京俺好」(トウキョウオレスキー)今回は古本屋さんのお話。
 本郷は赤門前の大通りに面した、それは旧い佇まいの小さな本屋さんなのですが、もう入口からして「グッ」と来ます。
 ちなみに、この「グッ」と来るかどうかというのは、多くの方にとっても「好き」になる重要なポイントだと思うのですが、今回紹介する「ヴァリエテ本六」は、今書いたように入口で来ます。「グッ」と。
 
 では「グッ」とくるポイントを紹介。
 まず建物の中心線に、その半分を占めようかというサイズの「ショーケース的」なスペースがあります。昭和の頃のテーラーとか、古いデーパートメントストアなんかは、このような造りになってたりするものですが、ここは本屋さん。
 このショーケース的な場所には、普段であれば辞書とか画集とか、高価で店のアイデンティティを示す商品が陳列されるわけです。
 
 で、その脇には一人分の幅の「ギィ」とか言って開くガラスドアがあります。
 このドアを「ギィ」と入ると、もうそこは本好きの人間にはたまらない「香り」が漂って、作り付けの大きな木の本棚や、壁に沿った陳列棚に並んだ様々な形の本本本本本・・・・。あとはその中をいかに泳ぐか、瞬時にアタマの中を巡らせたりし始めます。
 さらにみて行けば、並んでいる本が、具体的に言うことはできないけれど、ある一定の基準、よくわからないけど、何かしらのルールに従って選ばれ、並べられているのが「感覚」で理解できるのです。
 
 昭和30年代の駅弁巡りのレポの隣には、小澤征爾の武者修行の古い文庫があったり、ある一角には春陽堂の江戸川乱歩の文庫が歯抜け状態だけど揃っていたり。ボロボロの家庭画報やキネマ旬報など、一見まとまりはないんだけれど、それらの本が醸し出す雰囲気が、全体を一つの意思のカタマリのように調和させている、そんな感じがするのです。
 
 オーナーにそんなこと言ったら「あらいやだ、オホホホ」なんて笑われてしまうかもしれないので黙っているのですけれど、ワタクシはその雰囲気や空気が大好きで、この店にフリクエントしているというわけです。したがって「俺好」。

  また、この「ヴァリエテ本六」はギャラリーとしての顔も持ち、定期的にオーナーがセレクトした作家の個展や、年に何回かはグループ展が開催され、売り物の本たちと一緒に絵画やイラスト、立体などが並んでいる様子は、この場所がただの古本屋さんではないことを理解させてくれる機会でもあるわけです。

  実はワタクシも1度、グループ展に参加して、イラストを展示させていただいたのですが、いやまあ、自分の絵が店の中に飾られるだなんて、夢のような気分でしたよマジで。古い本に囲まれて、その空気を読み取る人たちが、光を求める虫のように自然と集まり、緩やかに話したり無言で絵をいつまでも眺めたり。そして絵を観ながらもふと、気になる背表紙の古本を見つけて手に取ったり。普通の本屋さんでは得られない様々な体験ができる、愛おしい場所でもあるのです。

 近代的なチェーン店や、買い取りをする何とかOFFという店は、システマティックで、整然と並んだ多くの本は清潔で探しやすく間違いなく便利です。もちろんそういう店でたくさんの本を眺めながらアレコレ物色するのも好きです。好きですがやはり、「ヴァリエテ本六」で得られる体験とは全く違うわけで、宛も無くなんとなく本と過ごしたい時、ナニカのヒントを探しているような時、そんな時は本郷に足を運んで、しばらく店の中を泳いでいたいと思わせてくれるのです。そして「古本屋さん」っていうのは、古い本を扱っていると言う意味もモチロンだけど、「旧い本屋さん」という意味の方がしっくり来るんじゃないか、とも思ったりするわけです。

 で、ひとつ、これは未だ未定なのですが、実は「ヴァリエテ本六」で絵の個展を開催するのがワタクシの密かな野望なのです。描きたいモノも決まってます。あとはいかに「ワタクシが描けるか」という問題だけなのですが、いやそれがまた、なかなか大変なもので・・・・(笑)

  ということで、「ヴァリエテ本六」に関する相変わらず適当な解説を少々。
 東京メトロ丸ノ内線/都営地下鉄大江戸線「本郷三丁目」駅からだいたい10分くらい。
 あるいは東京メトロ南北線「東大前」駅から3分くらい。
 赤門のある大通りの一角にあるのですが結構ひっそりした感じで、見逃しがち。
 萩原朔太郎の「猫町」に出てきそうな造りの店構えは、本好きの人なら見逃さないでしょう。ちなみに並びには「山猫軒」があります。宮沢賢治のアノおはなしに出てきたあの店ですよ。

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懐中雑誌「ぱなし」のWebサイト。通販でも買えます
http://panassy.p1.bindsite.jp/

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まつばらあつし
matsubara atsushi
1960年 東京都葛飾区生まれ
お絵描き屋さん&文字書きやさん、時々ガッコの先生
映画TV技術協会会員・ナショナルジオグラフィック協会会員
TSUTAYA会員
http://atts60.blogspot.com/



その20
新年のごあいさつ

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10years!

その18
PEACE & LOVE Together
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