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 ワタクシがここで書き連ねるのは「東京俺好」。発音すると「トウキョウオレスキー」、英語で書くと「Tokyo OleSki」という徒然文です。すなわち東京の中のワタクシの「好き」な所、それは店であったり場所であったりするのですが、そんな好きな場所を「適当」にご紹介する、というモノです。
 もちろん「適当」なので、詳しい場所やメニューとかあまり書きません。気になったら皆さんも「適当」に散策して、出向いたりしていただければいいかな、と思っているのです。東京に生まれ落ちて50年少々、曾爺の代から江戸東京と永く住んできたこの街のスキなところを勝手適当に書き連ねる「東京俺好」(トウキョウオレスキー)。よろしければ皆さまもテキトーに楽しんでいただければ、と思います。


その2「銀座の裏通りの小さな文房具屋」

 今回の「東京俺好」(トウキョウオレスキー)は、小さな小さな文房具屋さん。と、聞いただけで「つぴーん」と来る方も多いかもしれませんね。
そう、あの、銀座の、裏通りの、小さな店「五十音」が今回のオレスキー。



 「五十音」はいつの頃か忽然と、ひっそりと現れて、特に宣伝をしている様子でもないけれど、何時行っても多くのお客さんで店内はひしめいている。と、こう書くとなんだか景気がいい感じですが、実はこの「五十音」、間口がほんの一間ほどの小さな店。したがって店内もオトナ3人が入ったらもう一杯のギュウギュウ詰め状態になる程だから、多くのお客さんでひしめいているとは言ったものの、その人数は片手でも余るくらいの話です。
 例えば自分の家の風呂の湯船に3人も入ったらギュウギュウだけど、銭湯の湯船に3人と言ったら少々寂しい感じ、みたいな感じですかね。(ちなみに五十音が家風呂で、銭湯が丸善とか伊東屋みたいな大きな文房具屋さんね)

  でまあ、その狭い店内には、鉛筆からペンからノートから文鎮やケースバッグなど、品目はフツーでもその中身はフツーの文房具屋さんではあまり見かけないような、珍しくて可愛くて使いやすそうでカッコよくて欲しくなるようなものばかりがギッシリ詰まっている。いかにも「舶来モノ」のデザイン用品から、「何十年も前からソコにある」ようなデッドストックまで、み〜んな売り物。まるで宝箱のような感じの店なのです。

  先日もワタクシ「トウキョウではココでしか買えない」という、三菱製の
「10B」の鉛筆を買ってみたです。10Bですよ10B。
 鉛筆の硬さを表す単位ですよね「B」って。
 で、普通は「B」とか「HB」と言うのがポピュラーなわけで、お絵描きなんかする時は柔らかい「2B」とか使うわけですよ。それが一気に10B。5倍です。もう激しく柔らかいです。描くと筆のようにしなる。でも鉛筆なの。とかまあ、そんな妙な、でも使ってて楽しい、思わず使いたくなるような、そんな文房具に囲まれているだけで幸せな気分になるものです。

  だいたい文房具とかノートとか買う時って、買う前にその商品を手に取って、頭の中で想像するわけじゃないですか。ソレを使っている自分の姿を。ソレを使っている自分のカッコよさとかを思い浮かべながら。
 文房具屋さんというのは、そう言う多くの人の思いがたくさん浮遊している。で、五十音はその想像が特に激しく、濃く、そして楽しいのが特徴なのだと思うのです。
 狭い店内、他のお客さんが品定めしていると、自分はもうソコからしばらくは動けない。だから目に入る範囲のもので何か面白そうなものを探してみる。そうして想像、というか妄想しながら、今日はお金が足りないからまた買いにこようかな、とか、その頭の中に巡らした想像が「イマイチかっこ良くなかった」から、これは買わないとか、店を出るまでアタマの中大忙しですよ。

  もちろん、それが楽しいのでフリクエントするわけだし、馴れたベテランのゴジューオニスト(五十音のファン)は、店の前にある小さなお宮の所で、所在なさ気に時間を置いて、人が空いた頃を見計らって店内に入るという、まあ、オトナの余裕みたいなもので対応したりするもんです。
 
  ちょっとした「五十音」情報。
 ココは昼間行くよりも夕方、いわゆる逢う魔が刻に行くと、その裏道にある佇まいといい、かなりグッとくる景色が目の前に展開するはずなので、是非訪れてみてください。例えて言うならドコだろう。稲垣足穂の一千一秒物語に出てくるモヤのかかった不思議得な街の中とか、朔太郎の猫町の一画とか、あるいはハリーポッターシリーズのダイアゴン横丁にあってもおかしくない感じ。店が開いている時間も不定休というのもミステリアスでイイもんです。出向いた時に開いてなくても、ま、しょうがないか、また来りゃいいし、と思わせてくれる。

  全くココは、知る人ぞ知るという言葉がピッタリ当てはまる、オトナのための文房具屋さんなんでしょうね。ガキ厳禁。ちなみに、ワタクシも参加している「懐中雑誌ぱなし」という、プロが寄ってたかってつくったハイクオリティな月刊同人誌を置いている、東京でも数少ないお店なのであります。

  ということで以下に適当な解説を少々。
 東京メトロ「銀座」駅からだいたい5分くらい。
 あるいはJR「有楽町」駅からやはり5分くらい。
 ビルの間の裏道なので探すのはホネだろうけど、まあ、ひっそりとあります。
 本文中にもあるけれど出向くなら逢う魔が刻がお勧め。入り口から先はドコか違う世界につれて行かれるかも的な、ちょっとミステリアス感じの佇まいが目印。

懐中雑誌「ぱなし」のWebサイト。通販でも買えます
http://panassy.p1.bindsite.jp/




まつばらあつし
matsubara atsushi
1960年 東京都葛飾区生まれ
お絵描き屋さん&文字書きやさん、時々ガッコの先生
映画TV技術協会会員・ナショナルジオグラフィック協会会員
TSUTAYA会員
http://atts60.blogspot.com/



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