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あきら「茶柱句会 第三部 第57回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第57回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内x2)
6月8日〜6月22日締切り
兼題 <蛍> あるいは自由題(当季 夏)



コミュニティの要に俳句蛍の夜

漆黒の闇こそよけれ蛍里

白鷺の城を映せる芒種かな

枇杷の種媚びる相手はよもあらじ

政敵を殺め文豪黒麦酒

五万回斬られし男梅雨を斬る
(以上六句 大阪市 あきら)


広島に七川ありて蛍川

蛍籠被爆者名簿二十八万

元安川の雁木に蛍追ひしこと
(以上三句 加古郡 はつを)


紫陽花や山の形に濡れゐたり

柔肌に厳しき日射明日は夏至

大祓時空を超えて小豆降る

水無月の祓の菓子を買ひにけり

苦瓜の日除け忘れし家二軒

去年の香畳みしままの日傘かな
(以上六句 横浜市 兎巣)



字句補足説明-鑑賞の手引-
順番に
蛍の夜(夏)蛍里(夏)白鷺(夏)芒種(仲夏)枇杷(仲夏)
麦酒(夏)梅雨(仲夏)と当季季語 
<コミュニティの要>つまり生活の中心に俳句がある
新しい村つくりを構想している
兄事する松村賢治さんと<ビソアミス>という活動を始めている
<ビソアスミ>逆さに読むと
<スミアソビ(炭遊び)>というスミにおけない活動
6月21日付け日経新聞夕刊(こころのペ−ジ)にその一端が掲載されている
<白鷺の城>平成の大修理(2009年10月着工〜2015年3月完成予定)
の世界遺産・姫路城の工事用建屋の解体が進み「白鷺」の姿を現した
防水・防火のため壁や窓の格子・瓦の目地にまで白い漆喰を塗った
「白漆喰総塗籠造」だから真っ白に見える 愛称の「白鷺」の所以
折りしもNHK大河「軍師・官兵衛」も佳境に入っての相乗効果
<芒種>二十四節気の一つ今年は6月6日
  「芒(のぎ)」のある穀物を稼種する季節を意味する 
稲の田植えもその一つ
水を張った田に官兵衛ゆかりの白鷺の城が映る光景
(現在の城は関が原の合戦後に
初代藩主池田輝政(1564〜1613)が築いたもの)
<枇杷の種>その大きな種は種(しゅ)の保存のため 
媚びをうる相手などあるまい
人間は人間の我欲のために種なし化を進める(ブドウやスイカ)が
せめて枇杷くらいは野生の大きな種であって欲しい
古文法のお浚い<よも(副詞)+あら(ラ変動詞ありの未然形)
+じ(打消し推量の助詞)>つまり
<よもあらじ>は口語で<まさかあるまい>という意味になる
<文豪>は特には指定していないがシェクスピアあたりが似合うだろう
<五万回斬られし男>は東映京都撮影所の名斬られ役・福本清三(71)さん
今年初めて「太秦ライムライト」(大野裕之プロデュ−ス・脚本)に主演
<梅雨を斬れ>と頼みたくなる
因みに<ライムライト(line light)>とは(往年の)名声の代名詞
チャ−ルズ・チャップリン製作・監督・脚本・主演映画(1952年)の
題名でもある
元来は電灯が普及する前に舞台照明に用いられた照明器具(石灰灯)のこと

はつをさんの句
兼題の蛍(夏)で詠まれた滋味深い三句
一句目 広島は中国山地から瀬戸内海に流れこむ川のデルタ地帯に作られた都市
七川とは猿猴(えんこう)川・京橋川・元安川・本川(太田川本流)・天満川・
福島川(戦後埋立)・山手川(戦後拡幅太田川放水路)を指す(現在は六つ)
蛍川という川はない 蛍の飛び交う川の意味
二句目 永遠に詠み継がれるべき重い主題
卒塔婆の戒名のように全て漢字で表現された鎮魂の句
三句目 原爆投下後の元安川は生き地獄の様相
雁木(がんぎ)は階段状になった昔の船着き場のこと
水量や干満による水位の変化に対応するために工夫された
かつては蛍の飛び交う川だったという追想の一句

兎巣さんの句
順番に紫陽花(仲夏)夏至(仲夏)大祓(晩夏)
水無月(仲夏)日除け(夏)日傘(夏)
と当季夏の季語
一<山の形に濡れゐたり>紫陽花は山の起伏のままに植えられることが多い
二<明日は夏至> 日射がきつく肌を射す 気づけばもう夏至(6月21日)
三<大祓(おほはらへ)>6月30日夏越の祓 一年の丁度中間点
四<水無月の祓の菓子>はその名も<水無月>
五<苦瓜の日除け>苦瓜だけだと歳時記上では仲秋の季語
この句は日除けが当季夏の季語となる 
下五の<家二軒>で思い浮かぶのは蕪村<五月雨や大河を前に家二軒>
六<去年の香>つまり一年振りに開いた日傘
心の趣くままに肩の力を抜いて詠まれた兎巣さん流


<同人欄>

梅雨に咲くオオムラサキの碧き翅
梅雨よりも雨期の様相列島弧

水無月や水無瀬の里の井戸の水

水無月はやつてまへんと饅頭屋

いまさらと思ひながらも茅の輪かな

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題の水無月(仲夏・晩夏)以下 梅雨(仲夏)茅の輪(晩夏)
などが当季季語(季語歳による)
<水無月(みなづき)>は六月の異称
<オオムラサキ>は国蝶に指定されている濃い紫と碧の翅(はね)の大型の蝶 
今年の羽化は6月10日頃だった 規模の大きい雑木林に生息する
クヌギ・コナラ・ニレ・クワ・ヤナギなどの樹液に集まる
このような雑木林を維持するために 下草や間伐など手入れが必要
その廃材を松村式改良炭窯で炭にするのが「ビソアミス」の活動の基盤
「ビソアミス」の活動は俳句の生まれる環境を保全することにもなる
この表題の「水無月」は夏越の祓えで頂く縁起物の和菓子の銘
三角形の白い外郎(ういろう)生地の上に小豆を載せた単純なもの
その意味するところは三角は氷を表し暑気払い
上の小豆は悪魔払いをそれぞれ意味している 
六月三十日は一年の丁度中日 そこで前半の厄を祓い後半に期する意味を
こめて夏越しの祓を営むそときに頂くのが<水無月>という菓子
それを天満宮の近くの饅頭屋があろうことか「やってまへん」という
世も末 しかし京の和菓子屋はさすがに律儀
インタ−ネット上に甘春堂という京菓子屋が水無月の解説と販売をしている
外郎生地の上に小豆を載せた基本形が1個203円(いずれも税込み)
葛生地の上に小豆を載せたものが2個365円(清涼感があって創造的作品)
手間暇を考えるとけっして歩はよくない(大阪の打算的な店の判断)
しかし水無月は打算ではなく文化だからこそ創造的に作るべし
<水無瀬>は京の西にあってかつて離宮のあった景勝地
天王山に連なる西山の伏流水が豊かで名水の地として知られる
サントリ−の山崎蒸留所の水もこの系統
木津川・桂川・宇治川の三川が合流する大山崎にも近い
<茅の輪>門の前の茅で作った大きな輪を古式に則ってくぐる


「夏みかん」はつを(同人)vol.42

花みかんのなんと佳き香や萩城下

萩城下古地図のままや夏みかん

甘夏と萩焼ばかり売る城下

堀割の緋鯉の群れや花菖蒲

堀割のメタボばかりの緋鯉かな

字句補足説明-鑑賞の手引-
夏みかん(初夏)花みかん(初夏)甘夏(初夏)
花菖蒲(仲夏)緋鯉(夏)が当季季語
はつをさんの萩紀行の連作
一読 情景が浮かんでくるベテランの味

<講評>茶柱句会主宰 あきら(代表同人)
俳人の田宮尚樹さんの主宰誌「もちの木」第18号をご恵送
いただいた 巻末にいつも飯田龍太語録があり勉強している
<俳句も含め詩というものは、元来独断的なもの。この独断の新しさ
が読む人の心にある衝撃を与えて、感動を呼ぶ。
しかし、独断が作品の上で立派に通用するかどうかは、
表出された内容が事実の情景に接しない読者のものと
なりうる場合だけである。>けだし至言 心したい──
未熟さを棚に上げて未消化の難解な語で作るのはもってのほか
一方 読み手に伝えようと説明になっては俳句にならない
さらに読み手の感興をそそる謎も仕掛けながら
読者に対しては単純明快・印象鮮明に表現されてこそ一句に値する
参加者3名(331名)参加句数15句(851句)( )内は累計数

─俳句なう─
「第58回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
7月8日〜7月22日締切り 2014年8月8日掲載予定
一人6句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ト)
兼題は<花火>
あるいは自由題(当季 晩夏・初秋)でも構いません
自由題だから自由と早とちりする方もあったが 
他の結社では当季雑詠と呼ばれているもの「雑詠」という表現が
如何わしいので僕は自由題(当季 晩夏・初秋)としている
次回掲載日8月8日は立秋 歳時記上ははやくも秋となります
晩夏から初秋になるこの時期 俳句の面白くなる時期です


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