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あきら「茶柱句会 第三部 第56回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第56回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内x2)
5月8日〜5月22日締切り
兼題 <梅雨>
あるいは自由題(当季 夏)



新茶の香新・茶柱を読む方へ

花は葉に心定めて風まかせ

禅堂の深き廂や梅雨さ中

男には男の時間梅雨入りかな

江戸紫妣のこと偲ぶ母の日の

適塾に薄暑の無聊刀傷
(以上六句 大阪市 あきら)


走り梅雨赤間神宮朱を極め

七盛の墓の字雑や五月雨るる

五月雨や芳一像の耳小さき
(以上三句 加古郡 はつを)


梅雨空やジュピタ−鈍く甦り

言いさしてやめるが如し梅雨の空

青梅雨に置き直しけり庭鋏

梅雨無情中身で変はる壷二つ

梅雨将軍御着の殿は鶴太郎
(以上五句 横浜市 兎巣)



字句補足説明-鑑賞の手引-
順番に
新茶(初夏)花は葉に(初夏) 梅雨さ中(仲夏)梅雨入り(ついり)(仲夏) 
母の日(夏)薄暑(初夏)と当季季語 
<新茶の香>清澄とはまさに新茶の香・「新茶柱」は読む方に向けて詠む句会
固陋の人士の句は俳句における癌のようなもの
俳句こそは新茶しかもテアニンを多く含みうま味のある一番茶でありたい
テアニンは日照量が増えるとカテキンに変わり渋みが増す
うま味と渋味・苦味の絶妙のバランスが俳句の持ち味の妙 
<花は葉に>自然界では役目を終えた花はどんなに人を感動させたとしても
退場し葉桜に譲る 飯田龍太(1920〜2007)亡き後
恥ずかしながら俳句界は何処も含羞なき老醜の趣
そんな大したこともないのにどこかでおだてられてその気になる陳腐
油断すると詩魂なき浮腫のようなマヤカシの句がならぶ
その因には既存の俳句結社の劣化あるいは蛸壺化がある
<禅堂の深き廂(ひさし)>僕が通っていた長岡禅塾には立派な禅堂が今もある
坐禅と坐禅の間に全員で堂の周りの開廊をぐるぐる歩く経行(きんひん)がある 
その開廊の一間ほどを覆うのでざっと2mほどの深い廂
<男には男の時間>もちろん女には女の時間と言外に表現
この<時間>ただの時間ではない創造的に考えたり物思ふ大事な時間
もちろん考えたり物思はない無為な時間も言外に含む
<妣(ひ)>は亡き母のこと 1916(大正5)年5月31日生まれだった
<江戸紫>は花菖蒲の一品名 その名の通りくっきりとした紫がいい
僕は母を譬えるのにこの花がぴったりだと思っている 
<適塾>幕末(1838(天保9)年)に緒方洪庵(1810〜1863)が大坂に開いた蘭学の私塾 緒方洪庵の号「適々斎」に因んだ名称 大坂大学医学部の前身
門下生には維新や維新後に中心的な活躍をした人物の名が並ぶ
変わったところでは漫画家手塚治虫(1929〜1989)の曽祖父・手塚良仙の名が
<薄暑>やや汗ばむ程度の暑さをいう
悶々とした俊英らが無聊(ひま)をもてあまして
袈裟懸けにした柱の傷が生々しい

はつをさんの句
順番に
走り梅雨(仲夏)五月雨(さみだ)るる(仲夏)五月雨(仲夏)が当季季語
一句目 
前書きに<5月14日「海の街道」(壇ノ浦・赤間神宮)を訪ねて>とある
<朱を極めて>の措辞に揺るぎがない
二句目 
前書きに<赤間神宮に平家一門の知盛など七盛の墓石あり 
非常に乱暴な文字が彫られている 虚子の七盛の句あり>とある
はつをさんなりの平家に対するシンパシ−(同情・共感)がこもっている
高濱虚子(1874〜1959)の句は<七盛の墓包み降る椎の露>
三句目 前書きに<赤間神宮に「耳なし芳一」の木像あり>とある
「耳なし芳一」は本当のような嘘の怪奇譚 
赤間ケ関の阿弥陀寺の傍に住む盲目の琵琶法師の物語 
平家の亡霊に乞われて墓の前で壇ノ浦の段を弾奏す
芳一の身を守るために全身に般若心経を書くが耳に書くのを忘れそぎ落とさる
そのため「耳なし芳一」と呼ばれるようになった(小泉八雲ほか)
赤間神宮は山口県下関市にある 平家物語の悲劇は昭和の御代にも続く
1188(文治2)年 
入水した安徳天皇を弔うために源頼朝によって阿弥陀寺開基
1191(建久2)年 
後鳥羽上皇の勅願により安徳天皇の墳墓の上に御影堂を建立
聖衆山無量寿院阿弥陀寺と称す
1875(明治8)年 
明治天皇の勅宣により安徳天皇を祭神とする赤間宮と改める
1889(明治22)年 
安徳天皇の墳墓が御陵として御冶定さる
1940(昭和15)年 
赤間宮に「神宮」の称号が宣下さる
海の細道は以前にも紹介したが俳人の長谷川櫂さんが
芭蕉が果たせなかった西国への旅を独創的に構築し実際に行脚しておられる
はつをさんは奥の細道を踏破された方(立柱賞受賞俳論)を参照されたい

兎巣さんの句
仲夏の季語「梅雨」の五句が並ぶ
一句目<ジュピタ−(Jupiter)>はローマ神話に登場する気象現象を司る神
ユ−ピテルの英語名(wikipediaによる)
三句目<青梅雨>は梅雨の傍題の季語 梅雨になって青々と育つ木々の印象
四句目<中身で変はる壷二つ>例えば遺骨を入れれば骨壷
蜜を入れれば蜜壷 まさに<梅雨無情>だ
五句目<御着の殿は鶴太郎>はNHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」が仕える
御着城の殿役の片岡鶴太郎さん 嫌味な役柄を好演中<梅雨将軍>は作者の造語


<同人欄>

「ゴールデンウイ−ク」あきら(代表同人)vol.44

メ−デ−の退行久し一世紀

生死経て八十八夜の甦り

戦争をしない憲法記念の日

みどりの日田園に死す一詩人

皇后美智子選・英訳「けしゴム」まど・みちお詩
けしゴムの英訳Eraserこどもの日

字句補足説明-鑑賞の手引-
表題のゴールデンウイ−ク(初夏)以下 
メーデ−(初夏)八十八夜(晩春)憲法記念日(晩春)
みどりの日(晩春)鯉のぼり(初夏)などが当季季語(季語歳による)
<メーデ−>1889(明治21)年5月1日 
第2インタ−創立大会で決定した国際的な労働者の祭典 わが国では1920(大正9)年に第一回集会が開かれ今日に至る
ほぼ一世紀を経た近年とみに熱気が薄れ形骸化が目立つ
<八十八夜>立春から数えて八十八日目(5月2日)
15年前1999(平成11)年 僕は生死の境から甦った
長岡京にある長岡禅塾で参禅中 
脳梗塞を発症し近所の済生会京都府病院に緊急入院 
今日俳句を継続している発端はここからといえるから人生は分からない
<憲法記念の日>第二次世界大戦後1947(昭和22)年5月3日施行
不戦の憲法と呼ばれる
<みどりの日>(5月4日)もとは4月29日の昭和天皇誕生日
1989(昭和64・平成元)年 昭和天皇崩御により
2007(平成19)年からみどりの日として改めて祝日となった
<一詩人>異能の詩人寺山修二(1935〜1983)の忌日(享年47歳)
<田園に死す>は歌集(1965(昭和45)年)の題名を拝借
1967(昭和42)年頃の「天井桟敷」結成は刺激的だった
同じ頃「書を捨てよ 町へ出よう」に煽られたことも記憶に残る
好き嫌いでいうと嫌いな人だったが時代が寺山修二だった
<こどもの日>5月5日立夏・端午
今年の2月28日 
104歳で他界された詩人のまど・みちお(1905〜2014)さんの詩を
皇后・美智子さまが何篇か選をし英訳され米国で出版(1992(平成4)年)
その1編が「けしゴム(Eraser)」エラ−サ−と読む 
日英両国語併記(文芸春秋刊)
1994(平成6)年国際アンデルセン賞日本人初受賞の契機となった
こどもの日にふさわしい絵本(安野光雄画)
<俳句による村づくり>などと歯の浮くようなことは言わないが
<コミュニティの要にいつも俳句がある村づくりを目指す>とき
忘れてはならないのが まどさんの詩魂と読み手へ届ける美智子さまの翻訳の心
<新・茶柱>としてもっともっと心したい──
茶柱句会に清新な句が溢れる時代がすぐそこに来ている


「厳島」はつを(同人)vol.41

朱の鳥居くぐる小舟や夏帽子

薫風やいま群青の瀬戸の海

しゃがみては蟹とたはむる厳島

原爆ド−ム
荊冠のド−ム抜けたる青嵐

原爆資料館
夏服の名札なにがし被爆の子

字句補足説明-鑑賞の手引-
夏帽子(夏)薫風(夏)蟹(夏)青嵐(夏)夏服(夏)が当季夏の季語
この<蟹>は山や川や磯の小蟹 ずわい蟹やたらば蟹は冬の季語
表題の<厳島>は朱の大鳥居で知られる厳島神社のこと
海上の大鳥居をくぐって参拝する構成に非凡なものがある
1168(仁安3)年ごろ平清盛によって造営された
平安時代の寝殿造りそのままに海上に作った独創的な建築美
朱の大鳥居と社殿と宮島の若葉との美しい対比 そこに一艘の小舟
たんなる景色の描写から人間の営みまで表現されたリアリティがいい
<荊冠(けいかん)>ドームの皮膜が吹き飛んで鉄骨だけになった姿の措辞
<荊>は<いばら>のこと つまり<いばらのかんむり>と表現された
原爆ド−ムの痛ましさが伝わって実に的確な描写
原爆が投下されたのは1945(昭和20)8月6日 夏服の子が痛ましい

<講評>茶柱句会主宰 あきら(代表同人)
インタ−ネット上のどこに拠点を置くか思案中
できるだけ俳句臭の少ない場所──
折角黴臭い人たちにご退場いただいたので
清新な句会運営を心掛けたい
はつをさんは「60回の区切りまで参加したい」と申し入れがあったので
律儀さに免じ60回までという期限付きで参加していただいた
もう一方はどこかの蛸壺で黴の胞子を定着させているよし<我不関焉>
同人の兎巣さんは傾向の違う勉強の成果を発表された
参加者3名(328名)参加句数14句(836句)( )内は累計数
これが偽らざる現状
いつかこういう日も来るとは想像していた
しかし失望はしていない ここが出発点──
新しい村に「新・茶柱」を繋げるのが当面の目標

─俳句なう─「第57回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
6月8日〜6月22日締切り 2014年7月8日掲載予定
一人6句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ト)
兼題は<蛍>
あるいは自由題(当季 夏)でも構いません
自由題だから自由と早とちりする方もあったが
他の結社では当季雑詠と呼ばれているもの
「雑詠」という表現が如何わしいので
僕は自由題(当季 夏)としている


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