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あきら「茶柱句会 第三部 第47回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第47回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
2013年8月8日〜8月22日締切り
1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ト以内
兼題 <初秋><萩>
あるいは自由題 当季(初秋)



竿灯の尖を出でたる宙ならむ

原爆忌フラッシュ・モブの橋の上

反戦の精霊流無辜のこゑ

水平の左手を見よ長崎忌

サイレンに噤む球場終戦日

触れもせで思はば毀る萩の戸よ
(以上六句  大阪市 あきら)


子規の園ききやうあさがほ萩すすき

新涼は底紅一花活けしより

七月やはや咲き初めし女郎花
(以上三句 加古郡 はつを)


夏惜しむ栞線路に舞ひ落ちて

奥鬼怒の加仁湯の里や夏惜しむ

鬼怒川を下る舟べり秋の風

落人の里にしみじみ法師蝉

独り来て秘湯に鎮む残暑かな
(以上五句 横浜市 兎巣)



字句補足説明
順番に
竿灯 原爆忌 精霊流 長崎忌 終戦日と歳時記上は初秋の季語
秋立つ=立秋(今年は8月7日)からは歳時記上では初秋の季語
竿灯(かんとう)は秋田の竿灯祭り(8月3〜6日) 
<百尺竿頭進一歩>(無門関)百尺竿灯に一歩を進む
中国宋代の僧・無門彗開によって編まれた禅の公案集(無門関)の一則
百尺はたんに長さではなく 高い目標あるいは高い志の譬え
しかも到達したからといって安住せずに「さらに一歩を進めよ」という
僕はこの言葉を胸に収めて俳句を学んでいる
原爆忌は広島に原爆が投下された8月6日
フラッシュ・モブ(fiashmob)は
インタ−ネットを通じて呼びかけられた群集(mob)が
公共の場に集結し あらかじめ申し合わせた行動をとる集会(パフォ−マンス)
狭義には2003年5月NYで企画された集会とこれを真似た世界各地で企画されるようになった一連の企画を指す(e-words参照)
ここでは原爆投下の同日同時に相生橋の上で一斉に空を眺める行為がなされた
同日夕には精霊流 被害者はいつも無辜(むこ)の人々
罪なき人々のささやかな思いがこめられて精霊流の灯が流れて68年目 
相生橋は原爆ド−ムの下を流れる元安川に架かる橋の名
俳人 平井照敏(1931〜2003)に
<相生橋さまざまな夏わたるなり>(「夏の雲)所収)がある
歳時記上では8月6日(立秋の前日)の原爆忌(広島忌)も8月9日の長崎忌も
八月そのものも初秋とされている
<水平の左手を見よ長崎忌>は長崎市平和公園にある平和祈念像
彫刻家の北村西望(にしも)(1884〜1987)の作 
水平に伸びた左手が平和を象徴
<サイレンに噤む球場終戦日>は8月15日に毎年訪れる甲子園球場の
正午の景 今年は作新学院と熊本工業の試合中だった
サイレンの合図で喧騒の球場が静まって黙祷する<噤み(つぐみ)の球場>
終戦日を敗戦日とすべしという意見もあることは承知しているが
僕はことさら敗戦日といわなくても自明であり 終戦日で良いと思っている
8月15日の読売新聞編集手帳欄に沢木欽一(1919〜2001)の
<土熱く灼けゐし記憶終戦日>が紹介されていた
加藤楸邨(1905〜1983)や中村草田男(1901〜1983)に
師事した社会派の俳人
<萩の戸>京都御所清涼殿の一室の名 
弘徽殿(こきでん)の上の御局と藤壺の上の御局の間の間にあった
内裏の萩の庭の戸のこと
やんごとなき世界の萩 たださえ儚く毀れてしまう 
意識しただけで毀れてしまう儚さ
はつをさんの句
暑い暑いと嘆かずに
すでに来ている秋を見つけて
涼しげに過ごすのが俳句という文芸の知恵──
それを三句に示された はつをさんの恬淡とした句境 爽やか
順番にききやう あさがほ 萩 すすき あさがほ以外秋の七草 
秋の七草女郎花(おみなへし) 
底紅は槿(むくげ)の異称 秋を代表する植物で初秋の季語
七月は晩夏の季語だが初秋に咲く女郎花(をみなへし)が
早くも咲いていた感動
秋の発見第一号
兎巣さんの句
夏惜しむは晩夏の季語
残暑 法師蝉は初秋の季語 秋の風は秋の季語
どちらかというと晩夏に軸足を置ながら詠んだ句が並ぶ
<夏惜しむ栞線路に舞ひ落ちて>は兎巣さんならでは詠みぶり
日光国立公園・奥鬼怒川温泉郷の秘湯 加仁湯(かにゆ)での作品
原句<奥鬼怒の加仁湯の里に夏惜しむ>ではたんなる説明
当欄は前書きなしを原則にしているので
作者としては地名などを句中に入れておきたい気持ちが残る
そこで<奥鬼怒の加仁湯の里や/夏惜しむ>として前書き替りの一句とした
同人欄には偶然出会った春日野部屋の夏合宿の珍しい光景が並ぶ 
兎巣さんは すっかり俳句を自分のものとして継続されるようになった
少々のことではブレないし挫折したりしない


<同人欄>

「習作・秋の夏(残酷暑)」あきら(代表同人)vol.35

送り火の中継視聴熱帯夜

秋立ちてよりうだる毎日熱中症

楕円なら「マンボ」という名反転夏

残酷暑垂れ流さるゝ汚染水

動かざる秋の炎帝アスファルト

甲子園秋の大暑の愉悦かな

字句補足説明
表題の「秋の夏(残酷暑)」は
正式な歳時記にはない造語 故に習作とした
当句会では俳句の基本を
<五七五 十七音に主たる季語を一つ>としてきた
昨今の気象を鑑みると
立秋の後の8月12日に高知県四万十市で
観測史上最高の41度を記録
各地で35度以上の猛暑日や熱帯夜が連日連夜
記録されている
地球温暖化ばかりとはいえないまでも
太平洋高気圧の上空にチベット高気圧がかぶさり
地域的に熱波を発生させたのが主因とか
歳時記にはいろんな工夫の跡がみられる
<夏の中に秋を感じる─夏の季語>には
<今朝の秋><夜の秋>などがあり涼しげ
<秋の中に夏を感じる─秋の季語>には
かつて<秋の蚊><秋の簾(秋簾)><秋扇>など情緒が豊かだった
<残暑><残る夏>などがあるが
昨今の様相はこれでは表現され尽くせていない
思いつくままに列挙すると
<酷暑><猛暑><熱帯夜><熱中症>などがあるが
いずれも気象用語の域を出ていない
つまり 詩のコトバ(俳句でいえば季語)になっていない
そこで工夫中(未完成)ながら秋の季語としていくつか試みてみた
表題の<残酷暑>仲秋の季語<残暑>の援用 <超残暑>という案もある
実感に近づけて残酷としてみた
<秋の大暑><秋の朱夏><秋の炎帝>暑さの実感を表現するため
大暑(たいしよ)は二十四節気の7月23日の大暑の援用
朱夏(しゆか)は古代中国の夏の名称の援用
炎帝(えんてい)は古代中国の伝説上の帝王 夏を司る神の名称の援用
いずれにしても いろんな研究と実践による検証を経ることが肝要
なにより俳句として万人に認められる作品が必要 その第一歩
前二句は
あえて<季重り>とした
1は「送り火」という初秋の季語と「熱帯夜」という夏の季語の季重り
2は「秋立ち」という初秋の季語と「熱中症」という夏の季語の季重り
3以降は前述のように新しい秋の季語による習作
まだまだ工夫が必要


「大文字」はつを(同人)vol.32

網鵜飼火と鳥居の火見ゆ渡月橋

大文字消えてさやけき月の影

強さうな茄子を撰んで馬二つ

施火燃えよ父母が彼岸に戻るまで

消えかかる大文字の火煽ぐ孫

字句補足説明
順番に表題の大文字 鳥居の火 月の影 茄子の馬 施火と初秋の季語
鳥居の火と施火は大文字の傍題の季語
大文字は8月16日(月遅れの盆の送り火)
京都・五山の送り火が最もよく知られている


「相撲」兎巣(同人)vol.10

奥鬼怒の河原ならして相撲取

濁り湯の白さも嬉し勝ち相撲

すり足の歩幅とりどり土俵かな

手ぬぐいで虫追う力士の背中かな

相撲取記念写真に収まらず

相撲取干すものすべて珍しき

字句補足説明
順番に表題の相撲 相撲取 土俵 力士と初秋の季語
相撲は豊作祈願に始まるところから秋の季語とされた
相撲取 土俵 力士などは相撲の傍題の季語
元来宮中行事の「相撲の節会(すまいのせちゑ)」が源
旅に行かれた奥鬼怒川の秘湯加仁湯に
偶然 春日野部屋の力士らが夏合宿に来ていたのに出会って
詠まれた句 ユニ−クな体験記になった
兎巣さんの同人欄 区切りのvol.10を数えた
<干すものすべて珍しき>に兎巣さんらしい視点がみられる
これからもこの調子で継続されることを期待している
ジブリの「風立ちぬ」的 あるいは兎巣さん的「夏休み」


<講評 あきら(茶柱句会主宰)>
参加者3名(289名)参加句数14句(699句)( )内は累計
八月は生活面や俳句にとって一年の胸突き八丁──
気を引き締めて乗り切るに如かず
8月21日(旧盆 望の月)はス−パ−ム−ン
23日は二十四節気の処暑(しょしょ)暑さも収まる時期といわれる
秋の設えは着々と進んでいるが
実態は2週間以上連続の猛暑日
本文推敲中に処暑を過ぎ すっかり秋の爽やかさ
今回の句会の教訓は はつをさんの恬淡とした処世
兎巣さんの何処にいても俳句を忘れない継続の実践
俳句は自得の文芸だから自発的な努力は決して裏切ることがない
茶柱句会は茶柱横町とともにある
横町があるかぎり句会の門戸は開いている
<来者勿拒、去者勿追>去る者は追わず 来る者は拒まず
一旦途切れた方も門戸は開いているのでいつでも再挑戦して下さい

─俳句なう─
第48回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
9月8日〜9月22日締切り  10月8日掲載予定
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−トまで)
兼題 <良夜(りやうや)><子規忌(しきき))><葡萄(ぶだう)>
あるいは自由題(当季 仲秋) 
季語についてはインタ−ネット季語と
歳時記の会(季語歳)で確認して下さい
子規は現在の俳句という形式の
礎をつくった恩人・正岡子規(1867〜1902)


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